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水溜りボンド トミーさん

トミーさん、カンタさんの2人組動画クリエーター「水溜りボンド」。2人が制作し、5年以上にわたって毎日投稿するYouTubeチャンネルは、家族で見ても楽しめる魅力的なコンテンツで人気を集めています。さらに現在は、ラジオやテレビ番組への進出、イベント出演など活躍の場を広げています。今回はトミーさんに、動画投稿を始めたきっかけ、クリエーターとしての思い、制作の裏話をうかがいました。

お互いを笑わせることが楽しくて

——毎日投稿を続けているYouTubeチャンネル「水溜りボンド」の登録者数が、430万人を超えました。このメインチャンネルは2015年1月に始まって以来、ドッキリ、実験、検証、都市伝説、料理といった幅広い企画が見どころです。なかでもよく知られているのは、大量のスーパーボールやぷよぷよボールが落ちてくる企画、エレベーターの床ドッキリ、録音した音声だけを使った「人狼ゲーム」など。カンタさんのボケに対する、トミーさんのツッコミのかけあいも魅力です。2人が出会ったのは、いつだったのですか?

大学のお笑いサークルで知り合ったのが最初でした。カンタとしゃべってみると、お互いに好きなエンターテインメントが似ていて、気が合ったんです。よく見ていたテレビ番組が同じで、お笑い芸人だったらダウンタウン、小説だったら星新一のショートショートが好きでした。あとは、2人とも映画ファンで、有名どころはほとんど見ていた。なので、お互いに相手が見ていない映画を借りてきて、紹介しあっていましたね。趣味が似ているので「カンタの口コミだったら、絶対おもしろい」と思っていました。

——知り合ってすぐにコンビを組むようになったのですか?

それにはちょっと紆余曲折があります。はじめ僕は、お笑いサークルで、カンタとは別の人とコンビを組んでいました。といっても、同学年に4人しかメンバーがいなかったんですけどね(笑)。で、あるとき――知り合って1年くらい経ったころ、バンド活動をしていたバイト先の先輩から、「今度ライブをやるから、MCをやってくれないか」と頼まれました。当時組んでいた相方に声をかけたものの、あいにく都合がつかなくて、カンタに電話で話したら引き受けてくれたんです。

——即席のコンビだったのですね。

はい。しかも、その先輩には「フライヤー(パンフレット)にMCの名前も入れるから、すぐにコンビ名を教えてほしい」と言われました。そのときは当然、コンビ名はまだなくて。時間もなかったんで、僕とカンタで一つずつ単語を出しあって、それをくっつけたものにしよう、という話になった。で、せーので言ったのが、僕が「水溜り」、カンタが「ボンド」。バイトの休憩時間、10分くらいの間にコンビ名が決まりました。ライブハウスでのMCが僕らの最初の活動、ということになりますね。

——「水溜りボンド」の活動はそれから増えていくのですか?

ええ。ライブハウスで漫才やコントなどのネタを披露するようになりました。大学2年生だった2014年、コント日本一を決める『キングオブコント』(TBSテレビ)の予選にも出場しました。準々決勝に進み、3000組の中から300組まで残りました。でも、そのときにあらためて感じたのは、プロの芸人さんはおもしろい、ということ。同時に、僕らがライブハウスで腕を磨くにしても、仕事となるまでにたどり着くのか、という思いもあって……。そう考えていたとき、カンタが「(大学でメディア制作を学んでいて)映像の編集ができるから、YouTubeでなんかやってみない?」と言い出したんです。大学2年生の冬ごろのことです。

——YouTubeでの活動には可能性を感じましたか?

YouTubeにアップすれば、みんなが好きなタイミングで見ることができるので、今の時代にフィットしているかもしれないな、と考えていました。僕らは新宿のライブハウスでネタを披露していましたが、見に来てもらうには、みんなに特定の日時のスケジュールを空けてもらわなくてはなりません。それに、新宿まで来るのに電車や駅が混んでいるだろうし、夏なら暑くて外を出歩くのも大変です。なんとかライブハウスに来てくれても、僕らの前の出番の人がスベって、微妙な雰囲気になっていたら楽しめないかもしれない(笑)。でも、Webであれば、好きな時間に、なんならソファに寝っ転がって見てもOKです。それって、ライブハウスでいえば、最前列のVIP席にいるみたいなもの。会場のキャパシティーも無限です。そういう場で、自分たちがやりたいことを見せられたら、僕らも楽しい。ただ逆に言えば、これで評価されなければ、自分たちのせいでしかない、というプレッシャーもありましたが。では、どんなコンテンツをつくろうか――。僕らの普段のしゃべり、かけあいを生かしたらおもしろいかな、と思いました。僕らは当時、大学で教室を借りて、ネタを練習していたんですが、練習そっちのけで、朝から晩まで2人でしゃべってばっかり。お互いに相手を笑わせることが楽しかったからです(笑)。そんなこともあって、2人でしゃべっているこの感じがコンテンツになったら、長く続けられるだろうな、と。僕らとしても、漫才やコントのようなネタを見せていくよりも、どう転ぶかわからないバラエティー番組っぽいノリのことをやりたい気持ちもありました。

トミーさん、南極大陸へ行く!

——そうして始まったメインチャンネル「水溜りボンド」は5年以上、つまり2000日以上投稿を続けていますが、普段の1日はどんなスケジュールですか?

午前中は、僕とカンタ、それぞれが企画を考える時間です。カンタが通常企画、僕は大型企画を考えています。なので、僕は外部の方とのミーティングに出席することが多いです。それから撮影が午後1~2時に始まり、終わるのは午後5~6時ごろ。その後、カンタがメインチャンネルの編集、僕はサブチャンネルの編集へ。出来上がったら、所属する事務所で打ち合わせです。これが終わると、クリエーター仲間との食事。ただただお酒を飲むのではなくて(笑)、ここで話すことはコンテンツの企画になる可能性を秘めていて、企画会議に近いかもしれません。時節柄、最近はビデオ会議サービスの「Zoom」を使っています。

——コンテンツのアイデアは、そんなところからも生まれているのですね。これまで長く続けてきて、ネタに困る、なんてことはありませんでしたか?

やりたいことはめちゃくちゃたくさんあって、ネタに困ることはそんなにありませんね。ただ、僕は壮大な企画を考えることが多いので、どうやったら実現できるのか――そこに頭を悩ませています。たとえば、今年の夏に実現できた戦車でドライブスルーへ行く企画では、どうやったら戦車借りられるんだろう? エレベーターの床ドッキリ(ぜひ見てください!)も、どうやったら仕掛けられるか? そんなことばっかり考えています(笑)。

本物の戦車でドライブスルー行ってみたwww

——トミーさんにとって印象深い企画は何ですか?

さきほど挙げていただいた企画のほか、アメリカのニュース誌『TIME』のウェブ版で取り上げられ、世界でバズった「本気でチャーハンを作るドッキリ」などいくつもありますが、毎年恒例になった大型企画の無人島シリーズでしょうか(『【拠点探し】100均ダイソーのものだけで無人島に家作ってみた #1』ほか)。僕らの企画ってどれもそうですが、小学生のころ、男の子全員が「やりたい!」と夢見たことばかり。大人になって、無人島に行こうと思ったら、手を尽くせばできるかもしれないけれど、ほとんどの人は仕事の忙しさからあきらめてしまう。そこで僕らが、みんなの代表として行って、それをコンテンツにする。そんな感覚でやっています。視聴者は20~30代が多いんですが、皆さんに「もし自分が無人島生活をしたら、こんな感じだろうな」と伝わったらうれしいですね。

【拠点探し】100均ダイソーのものだけで無人島に家作ってみた #1

——室内で撮影する企画以外にも、今おっしゃった無人島シリーズ、村をつくる「水溜り村」シリーズのように、外に出ていろいろなことに挑戦するところも、見どころですよね。一方で2018年8月の夏休み企画では、新たな試みとして、トミーさんが監督、脚本、出演した本格ドラマなどを2日間にわたって公開し、注目を集めました。再生数もかなり伸びたのでは?

このときは、有名な俳優さん、タレントさんをキャスティングしたドラマ『裏切り』や『ありえないぐらい綺麗好きな女』、僕らをアニメ化したショートストーリー『もしも水溜りボンドが高校で出会っていたら』など10作品を公開したんです。その結果、僕らのチャンネルで最も再生された2日間になりました。当時、YouTube上には撮影クルーを入れて作り込んだビッグコンテンツがあんまりなくて、ぜひそれに挑戦したいな、と。出演者のスケジュール管理、ロケ地の確保など、いつもと違う体験ができました。新しいものを作るやりがいがあった反面、あのときほど責任を負ったことはありませんでした。めちゃくちゃコケるかもしれないですし……。でも、重圧の中でも楽しめる体質でなければ、今後につながっていかない。この経験で自分が一皮むけたような気がします。

【11日間】日本人YouTuber初「南極大陸」行ってみたwwwww

——ほかにも2019年の年末、トミーさんが南極大陸に行く企画『【11日間】日本人YouTuber初「南極大陸」行ってみたwwwww』がありました。これ、ドキュメンタリーですよ。映像が美しい!

ガイドさんがついた以外は、撮影も含めてすべて1人で行うので、ロケはめちゃくちゃキツかったです。日本から南極へは飛行機、船を乗り継いで行きました。しかも、南極大陸に上陸できるのは、1日に2回だけ、それぞれ1時間くらい。船上で待機している時間がほとんどでした。さらに、必ず上陸できるわけではなくて、天候が荒れていたら中止になってしまう。南極近辺は荒れやすいので、滞在期間中、一度も上陸できない可能性もありました。でも、このときは運よく晴れて、本当に良かったです! 余談ですが、同行した人の話では、何度目かのツアーに参加して、やっと上陸できた、と言って喜んでいましたよ。そもそも南極へは罰ゲームとして行くことになったので、イヤではあったんですけれど(笑)、コンテンツをアップして、あらためて振り返ると、この経験は何にも代えられないな、と感じました。南極に行くなんて、活動を始めたころには想像しなかった規模の企画でしたから。なんというか、一つ一つ小さい夢をかなえていった結果、実現できたことだった気がします。夢って、そういう感じでつながっていくんですね。

「水溜りボンド」の活動は生きがい

——ところで今年8月、これまで続けてきた毎日投稿を年内で終わりにする、という発表がありました。どんな思いだったのですか?

毎日投稿をやめるときはいずれくると思っていて、どう発表しようかとずっと考えていました。これはなにもネガティブなことでなく、僕らは「ステージがひとつ変わる」ととらえています。ロックバンド「ヤバイTシャツ屋さん」とコラボして制作したミュージックビデオ『ハッピー毎日投稿終了前ソング』を、発表と同時期に公開したのも、毎日投稿のラストに向かってお祭りみたいにできたらな、という思いからです。このミュージックビデオ、すごく記念になりました。

【MV】ハッピー毎日投稿終了前ソング【4K】

——パワーアップした「水溜りボンド」を楽しみにしています。これからの目標として考えていることは?

僕はいつも大きな目標、目の前の小さな目標を考えています。大きい目標はずっと変わりません。「水溜りボンド」というコンビにとって、最善の活動をしていくことです。この春から、ラジオ番組『水溜りボンドのオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)がレギュラー化して、僕たちの居場所がラジオにもできてうれしかった! また、秋から始まったテレビ番組『水溜りボンドの〇〇行くってよ』(テレビ神奈川)は、地上波初の冠番組。Web以外の場でも、「水溜りボンド」を多くの人に知ってもらい、皆さんの気持ちをポジティブにする活動ができたらいいですね。目の前の目標としては、今はコロナ禍でファンの皆さんとの距離を縮めづらいなと感じています。今年企画していたトークライブの全国ツアーも、残念ながらキャンセルに。状況が変わったらすぐに動き出せるよう準備しつつ、こんなときでも皆さんとコミュニケーションをとれる仕掛けを考えています。

次の投稿に向けて作業中のトミーさん

——最後に、トミーさんのモチベーションはどんなところにありますか?

タイムマシンで過去に戻って人生をやり直せるとしたら、どんな行動をとるか、という話がありますよね。過去の行動や選択を変えて、未来を変えるという。僕には子どものころの恥ずかしい思い出がいっぱいありますが(苦笑)、そんなつらい経験をもう一度してでも、またカンタとコンビを組みたい。あのとき、あの恥ずかしい経験がなければ、今の活動はできてないかもしれないな、と思ってしまうんです。それくらい「水溜りボンド」の活動は僕にとって生きがいです。カンタが世の中に評価されることも、素直にうれしいですしね。カンタもそうだと思いますが、自分たちの活動が好きなんです。それがモチベーションになっています。でももしかしたら、僕らのモチベーションが高すぎちゃって、周囲の関係者の皆さんに苦労をかけてしまっているかも、とちょっと気にしています(笑)。

水溜りボンド トミー(みずたまりぼんど とみー)
水溜りボンド トミー(みずたまりぼんど とみー)
1993年、千葉県生まれ。動画クリエーター。大学のお笑いサークルで知り合った相方・カンタさんと「水溜りボンド」を結成。2015年1月から毎日、YouTubeを通じてドッキリ、実験、検証、都市伝説、料理といった幅広い企画のコンテンツ配信を続けている。18年8月には夏休み企画として、トミーさんが監督、脚本を務めた本格ドラマなど10作品を2日にわたって公開、注目を集めた。メインチャンネルの登録者数は現在、430万人を超える。Webを通じたコンテンツ配信のほか、ラジオやテレビ番組への出演、全国各地でのトークライブなどにも精力的に取り組む。20年8月、5年以上1日も欠かさず続けてきた毎日投稿を、年内で終了すると発表。それに伴い公開された、ロックバンド「ヤバイTシャツ屋さん」とコラボして制作したミュージックビデオ『ハッピー毎日投稿終了前ソング』も話題を集めた。@miztamari_nikki

水溜りボンド 公式サイト
水溜りボンド YouTubeチャンネル(メインチャンネル)
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