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2013年のCDデビュー以来、年に1枚のペースでアルバムを発表し、10~20代から熱い支持を集めるスリーピースロックバンドSHISHAMO。ロッテ「爽」のためにCMソング「OH!」を書き下ろした宮崎朝子さんに、作り手の思いを伺いました。

汗をかいて頑張る人を応援するCMソング

——宮崎朝子さんは、ロッテ「爽」のCMソング、「OH!」の作詞作曲を担当されていらっしゃいます。この曲はどういう思いで作られたのでしょうか。

ロッテ「爽」のCMソングを書き下ろすことが決まり、打ち合わせで商品コンセプトである「全力って爽ハッピー!」についてお話を伺ったとき、「今の時代はいろいろなことがスマートに効率よく動いていて、それは素晴らしいのだけれど、もっと汗をかいて泥臭く頑張ることも格好いいよね」、といった会話で盛り上がりました。私も日頃、同じようなことを思っていたので、それを曲にしたくて、“暑苦しい”をテーマに作りました。

——スマートではなく、もっと暑苦しく生きてもいいんじゃない、と?

はい。最近、すべてにおいて“スタイリッシュさ”を求められているような気がするんです。仕事でも、余裕を持って進められるほうが格好いいと思われていますし。でも、“いっぱいいっぱい”でもいいんじゃないかと。汗をかいて、全力を尽くす姿もすてきだし、そういう人たちを応援したいなと思って書きました。

——宮崎さん自身は全力を尽くすタイプですか?

「全力」はSHISHAMOのテーマでもあります。ありがたいことに、テレビやラジオへの出演など、音楽以外にもいろいろやらせていただいているのですが、どんなこともやる以上は全力で取り組もうと心掛けています。

物語のように曲を楽しんでほしい

SHISHAMOのメンバー。左がベース担当の松岡 彩さん、右がドラムス担当の吉川美冴貴さん

——楽曲づくりをする際に、どのようなことを心掛けていますか? 宮崎流の作り方があるのでしょうか?

SHISHAMOの楽曲には恋愛ソングが多いので、たびたび、「実体験ですか?」と聞かれるのですが、実体験を書くことはほとんどありません。私の場合は、物語を書くように、主人公を設定し、ストーリーを膨らませながら書いています。聴いてくださる方にも、ドラマや映画、漫画や小説などのように、物語として曲を楽しんでほしいと思っています。

——短い曲のなかに、小説のように起承転結も作るのですか?

はい。自分ではない“誰か”を主人公にし、歌詞には書かないことまで考えていきます。
私自身、物語が大好きなんです。ドラマもよく観ますし、漫画もよく読みます。もちろん音楽も好きなのですが、音楽で何かメッセージを伝えたいというより、聴いてくださる方、一人ひとりの暮らしのなかで私たちの曲を、お気に入りの物語のように楽しんでほしいと思っているので、そういう作り方になったのだと思います。

——1枚のアルバムを作るに当たっては、コンセプトを決め、それに合わせて入れていく曲を3人で決めていくのでしょうか?

そうですね。全体のバランスを考えながら、話し合って決めていきます。今回はバラードが多すぎるから削ろうか、とか、こういう曲が足りないな、という意見が出れば新しく作ります。私は歌詞から作るのですが、歌詞があればあるほど曲が作れるので、歌詞は常に書くようにしています。電車の中やお風呂の中など、どこでも書きます。

——そんなに物語が思いつくなんて、すごいですね

曲の主人公に感情移入して聴いてくださる方が多いと思いますので、物語を練るというより、こういう女の子がいたらかわいいな、とか、主人公の面白さを優先し、考えていくほうかもしれません。顔もわからない誰かを主人公にして、この子はなんでこう思ったんだろうとか、こういう行動をしたのは、本当はどういう気持ちがあったのだろうとか、そういうことを突き詰め、考えていくのがすごく好きなんです。

初めて作った曲がCD に

——宮崎さんが初めて作詞作曲をされたのは、SHISHAMOを結成された高校生のときですよね?

はい、SHISHAMOは高校の軽音楽部で結成したのですが、最初はコピーバンドをしていて途中から曲を作るようになりました。初めて作った曲が最初のシングルです。

——初めて作った曲がCDになるなんて、周囲から驚かれませんでした?

どうでしょう……。そのときは自分の作った曲がいいものかも全くわからなかったので。クオリティーを考えなければ、誰でも曲は作れますよ。ドレミファソラシドがあるだけなんで(笑)。

——宮崎さんはなぜ軽音学部に入ろうと思ったのですか?

仮入部期間にいろいろな部活を見学したのですが、軽音学部にすごいイケメンの先輩がいて、いいなと(笑)。ギターが家にあったのも決め手になりました。道具を買いそろえないと始められない部もありますよね。でも、ギターは持っていたので、お金がかからないな~と。なんか、部活自体がイケてたんですよね。実際、3年間すごく楽しい部活でした。

「全力合“爽”部」での演奏

——入部後に、ギターの魅力や作詞作曲の面白さを知ったのですね?

はい。でも、あくまで部活の一環。高校を卒業したら引退すると思っていました。

——なのに、バンドデビューすることになったのは?

軽音学部顧問の先生が行きつけのとんかつ屋さんで私たちの曲を流してくれたんですね。それを聴いた音楽関係者の方が、私たちのライブに来てくださって、CD制作を勧められました。

——ご自身のなかでどのようなことをきっかけにプロとしてやっていく決意が固まったのですか?

私たちのライブに、身内以外の、全く知らない方々がわざわざ来てくださるようになり、部活の延長ではダメだと思うようになりました。

——作る曲も変わっていきましたか?

それはなかったですね。ただ、『私の夜明け』(2018年6月リリースのアルバム『SHISHAMO 5』収録)を作ったころから、楽曲全体に広がりが生まれたような気がします。それはきっと、メンバー一人ひとりの実力が上がり、バンド全体でいろいろなことが表現できるようになったからだと思います。

「いい音楽」を作って届けたい

「全力合爽部」活動報告会。CMキャラクターを務める広瀬すずさんと

——宮崎さんは、楽曲制作だけでなくグッズデザインも手掛けていますよね。ものづくりがお好きなのですか?

好きか嫌いかでいったら好きですね。ただ、“好き”という以上に、自分たちでやることが大事だと思っているところがあって。そのほうが気持ちもこめられますし。

——音楽だけでなく、グッズでもSHISHAMOの思いが届けられると?

そうですね。私にとっては音楽より難しいのですが(笑)。

——バンド活動で感動した出来事や楽しかったエピソードがあれば教えていただけますか?

今日(ロッテ「爽」CMの撮影日)は感動しました。1,000人の高校生が集まって、SHISHAMOの曲を合奏してくれるというのは、すごいこと。最初から最後まで皆さんが元気で楽しんでくれたのがうれしかったです。

——ファンの反応が直に伝わってくるのがライブの醍醐味(だいごみ)ですね。

そうですね。ただライブでなく、手紙などでも「この曲を聴いて頑張れました」「毎日聴いて通勤しています」といった声をいただくので、多くの方が日常のなかでSHISHAMOの音楽を取り入れてくれているということを感じられます。誰かのために、と思って作ったわけではないのに、結果的に誰かのためになっている、というのがすごいことだな、と。私は、「音楽は聴いている人のもの」だと思っているので、自分の手を離れ、誰かのものになっていくのがうれしいです。

——今後はどういう活動を目指していますか?

「爽」で一息

SHISHAMOの活動で一貫してきたことなのですが、「いい音楽を作る」ことを大事に活動していきたいですね。バンドの核でもあります。曲がよくなければ何の意味もないと思っているので、とにかくいい曲を作り、ライブでたくさんの人に届けていくことを真摯(しんし)に続けていければと思います。

取材・文 辻 啓子

宮崎朝子(みやざき・あさこ)
宮崎朝子(みやざき・あさこ)
1994年、神奈川県生まれ。3ピースロックバンドSHISHAMOのギター&ボーカル担当。川崎総合科学高等学校の軽音楽部で「SHISHAMO」を結成。2013年春、高校卒業と同時に本格的にバンド活動を開始。同年11月、デビューアルバム『SHISHAMO』をリリース。2016年1月、CDデビューから僅か2年、メンバー平均年齢20.4歳で迎えた初の「日本武道館」単独公演はチケット完売。2017年には「第68回NHK紅白歌合戦」に初出場を果たした。2018年、CDデビュー5周年で5枚目のアルバム『SHISHAMO 5』をリリースし、今年6月には初のベストアルバム『SHISHAMO BEST』を発売。9月に大阪城ホールとさいたまスーパーアリーナでのアリーナ公演が開催される。
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