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菅野美穂さん

1993年の女優デビュー以来、テレビドラマや映画で幅広い役柄を演じてきた菅野美穂さん。高い演技力と飾らない自然体のキャラクターで多くの人を魅了してきました。結婚・出産を経て、現在は2児の母としても奮闘中の菅野さんに、女優としてのお仕事や現在の生活についてうかがいました。

人との出会いが仕事のモチベーションに

——これまで数多くの作品に出演されてきた菅野美穂さんですが、女優という仕事の醍醐味(だいごみ)や難しさはどんなところにあるとお考えですか?

たとえ思い描いていた通りのお芝居ができたとしても、自分で良し悪しを決められるものではないのが女優という仕事。演技って“上手下手”だけでは表現できないですし、技術があっても “いい女優”と評価されるものでもない。全身でぶつかるひたむきさはかけがえがないけれど、感情を抑制し、コントロールすることが有効な時もあります。そういう意味ではつかみどころがない難しさがあるように思います。もちろん気持ちや技術は大切です。そうしたものはキャリアを積めば培っていけるものだと思いますが、それにあぐらをかいて安心することなく、自分のなかで発見があれば常に試し続ける。これこそが正解のない演技の醍醐味なのかもしれません。

——どんな仕事でも長く続けていると、モチベーションを維持するのが大変だと思いますが、モチベーションを保つための菅野さんならではの秘策などありますか?

秘策というほどではないのですが、「人との出会い」に意識を向けることでしょうか。お仕事のたびに、作品の準備に入る前には、「どんな人とご一緒できるのかな」「作品を通してどんな出会いがあるのかな」といったことを楽しみにしています。実際に始まると共演したことがある方なら安心感を持って演技に挑めますし、“初めまして”の方であれば新鮮な気持ちでお仕事をさせていただける。もちろんスタッフさんも同じで、その期間を一緒に過ごす方々との出会いがモチベーションにつながりますね。

撮影の合間くつろいだ笑顔の菅野さん

——これまで出演された映画やドラマで印象に残っている作品を教えていただけますか?

2009年~11年にNHKで放送された『坂の上の雲』でしょうか。3年という月日を費やしての撮影は、一生に一度しか経験できないことのような気がします。どのシーンも丁寧に作られていて、画面は迫力満点でした。これほどの大作に参加させていただけたこと自体、大変光栄でした。ロケ地であるロシアやマルタ島の撮影にもプライベートで見学に行ったのですが、それも思い出深いですね。

——新人のころから演技力に高い評価を得ている菅野美穂さんですが、役作りはどのように始めるのでしょうか。

台本を熟読し、原作のある作品は原作も読みます。その上で演じる人物の生活を想像して、着る物や身の回りのものを考えます。役によってはジムに通ったり、ピアノの練習をしたりと、体形管理や必要な所作を身につけたりもします。また、役柄や物語の時代背景について理解を深めるために、関係者にお話を伺いに行くこともあります。役柄によって役作りの仕方もかなり違いますので、監督や脚本家さんの意向をヒアリングしながら、ということになりますね。

——過去と比較して、役作りの方法に何か変化はありますか?

年齢とともに肩の力が抜け、「こうでなければならない」というようなとらわれ方はしなくなりました。現在のモットーは「身軽に」でしょうか(笑)。子どもができてからは、役作りに割く時間も限られているので、隙間時間でちょこちょこできる事をやる感じです。

子どもに絵本の読み聞かせをするのが日課

子どもたちとの共演シーン

——ご出産を経て、変わったと感じることはありますか?

心の準備をしていたつもりでも、いざ目の当たりにすると想像以上に大変で、そんな毎日に適応している自分が意外だったりします。「こんな風に変わるんだ~」と(笑)。例えば、子どもたちに日本昔ばなしを読み聞かせていると、主人公であるおじいさんおばあさんが今の自分に重なって見えてくるんですね(笑)。物語の心への響き方も、母になる前と今とでは違うのだと実感しています。

——お子さんに絵本の読み聞かせをされているのですね。子育て真っ最中の菅野さんの1日の時間割を教えていただけますか?

まず朝は子どもと一緒に、5時~6時ごろに起きて、日中、仕事が入っているときは、子どもたちを預けてから出かけ、仕事が終わったら迎えに行って、夕食は20分で作るのが目標(笑)。それからお風呂に入れて、20時には布団に入ります。そして、絵本を3冊読んだら電気を消します! 夕方からの流れが一番忙しいですね。

——家事・育児とお仕事を両立させるのは大変だと思いますが、バランスはどのようにとっていらっしゃいますか?

正直なところ、“両立”とはほど遠いところにありますね。10年くらいかけて良いバランスを探っていけたらと思っていたのですが、コロナの影響もあり、シミュレーションが崩れました、どうしましょう(笑)。お仕事の機会は以前より限られていますので、お引き受けできるときは心の準備をしっかりして現場に臨みたいと思います!

——今後、演じて見たい役柄、またはジャンルはありますか?

もう少し子どもの手が離れ、また、機会があるようでしたら、舞台に挑戦したいと思っています。

影響を受けた母の言葉

——ロッテ「乳酸菌ショコラ」の新CMに出演されています。「子ども先生」がテーマのCMは、先生に扮した子どもたちから菅野さんが乳酸菌ショコラの秘密を教えてもらうという設定で撮影が進められましたが、ご感想をお聞かせください。

共演した3人の子どもたちは感心するほどしっかりしていて、とても素直。おしゃべりも楽しかったですし、演技もイキイキとしていてステキでした。撮影の休憩時間も4人で扇風機にあたってリフレッシュしていました。

共演の子どもたちとコミュニケーション

——乳酸菌ショコラは「チョコで乳酸菌を包んで(守ることで)生きて腸まで届ける」がコンセプトですが、菅野さんが今、生活の中で守っていることはありますか?

子どもとの約束でしょうか。うちの子は溶けるとおもちゃが出てくる入浴剤が大好きなのですが、日曜日のお風呂のときだけ使うことを約束していて、それを守っています。もっとも、息子が絶対に忘れないのですが(笑)。

——ロッテのチョコレートやキャンディ、ガムなどについて、覚えているエピソードがございましたら教えてください。

サンタさんから生まれて初めてもらったプレゼントにチョコパイが入っていました。サンタさんが何なのか理解していないくらい幼かったのですが、びっくりしたし、とってもとってもうれしかったことを今でもはっきりと覚えています!

——忙しい毎日で菅野さんが一番リラックスするのはどんなときですか?

ヨガのリモートレッスンを受けているのですが、最後に“シャバアーサナ”という、仰向けに寝たまま全身の力を抜いてゆっくりするポーズがあります。その時だけは日常から離れ、本当にリラックスしていますね。

——普段、美容や健康のために心がけていることはありますか?

和食や発酵食品をメインに食べるように気を付けています。お味噌汁は毎日飲みます!

——女優以外になってみたいのは?

旅行が大好きなので、“旅人”になってみたいです。

——これまでの人生で影響を受けた人や、言葉はありますか。

母ですね。
「ほしいものは、自分で働いたお金で買いなさい」「子どもをひとりは産みなさい」そんな風に言われはしましたが、基本的には子どもの自主性に任せてくれていました。自分が母親になり、改めて母の言葉の意味をかみしめています。

——「好きな言葉」と、その理由を教えてください。

ハワイの言葉「ホ・オポノポノ」です。「ものごとを正しい状態に戻す」というような意味だそうですが、昔からハワイに伝わる問題解決や癒やしの手法でもあります。例えば、怒りや憎しみといった負の感情が生じたときに、
「ありがとう」
「ごめんなさい」
「許してください」
「愛しています」
の4つの言葉を繰り返すことで不要な情報を消し去り、本来の自分を取り戻すというもの。せっかちな私はいつも何かに追われ、慌てて時間を過ごしがちなのですが、このホ・オポノポノ的な考え方は、ゆっくりと自分の人生に向き合うことの大切さも教えてくれているような気がします。

菅野美穂(かんの・みほ)
菅野美穂(かんの・みほ)
1977年生まれ。埼玉県出身。93年、『ツインズ教師』(テレビ朝日系)で女優デビュー。95年、NHK連続テレビ小説『走らんか!』の準主役に抜擢。同年『大失恋。』で映画初出演。97年には『君の手がささやいている』(テレビ朝日系)でエランドール賞新人賞を受賞。2009年から11年に『坂の上の雲』(NHK)に出演。NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』や『ひよっこ』、14年にはアニメ映画『ベイマックス』で声優にも挑戦。その後も多くのテレビドラマや映画で活躍している。
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