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間宮祥太朗さん

正統派二枚目ながら爽やか好青年から個性的なキャラクターまで、さまざまな役柄を演じ分け、俳優としてのキャリアを積み上げてきた間宮祥太朗さん。演技をする上で大切にしていることや、幼いころから大好きな映画への思いを語ってもらいました。

わかりにくい作品が好き

——間宮祥太朗さんは、小学生のころからの映画ファンだと伺いました。俳優になろうと思われたのも映画が好きだったからですか?

そうですね。「映画業界」に興味がありました。中学生のころから、漠然とではありますが、好きな映画と音楽に携わる仕事がしたいな、と。ただミュージシャンや俳優のように出る側というよりは、裏方のイメージでした。そんなとき、先輩の誘いで雑誌の撮影に参加したのですが、その雑誌を見たテレビ局のプロデューサーが今の事務所の社長に僕を推薦してくださって、事務所から「うちで役者としてやらないか」と声をかけていただきました。

——「役者で」と言われたとき、演技をすることに不安はなかったのでしょうか?

年齢(当時は15歳)にしてはかなりの数の映画を見ていましたので、自分自身に演技の経験はなくても、“人が演技すること”には詳しいという自負はありました。だから不安はあまり感じていなかった気がします。

——「映画業界への興味」が、「俳優への興味」に変化したのはいつごろですか?

長塚圭史さん演出の舞台『ハーパー・リーガン』に抜擢(ばってき)していただいたときでしょうか。デビューして1年後でしたから、映画以外は無知。ある映画に俳優として出演されていた長塚さんを思い出し、「え? あの人がこの舞台の演出家?」と驚く始末で(笑)。出演が決まり、長塚さん率いる演劇ユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」の公演を拝見し、舞台の面白さを知りました。それまでは、舞台を観ることも立つことにも興味がなかったのですが、映画しか面白いものはないという自分の偏った考えも反省しましたね。さらに、『ハーパー・リーガン』の稽古と本番を通し、作品を作っていくことの面白さ、楽しさも初めて体験して。「俳優って面白い仕事かもしれない」という興味に変わった瞬間だったと思います。

——面白いと感じたのはどのあたり? お芝居をすることの楽しさですか?

当時はまだ、芝居を構築する方程式みたいなものはまったくない状態だったので、単純に作品の面白さにひかれたのかもしれません。僕は映画もそうなのですが、“わかりにくい作品”が好きなんです(笑)。そういう意味でも『ハーパー・リーガン』は僕が好きな作品でした。イギリスの戯曲なので、日本とは物語の背景にあるものがかなり違います。それらを長塚さんと話しながら解釈していく作業がとにかく楽しくて。自分が登場しないシーンも舞台の袖で夢中で観ていました。振り返ると、好きな作品に出合えたことが、演じることへの興味につながったのかもしれません。

——俳優としてのキャリアは10年を超えましたが、演じる上で、大切にされていることはありますか?

そのときどきによって大切にするものを変えることですね。

——そのときどき、というのは?

たとえば、圧倒的にわかりやすさが必要な作品もありますよね。僕はわかりにくいものが好きだからあえてわかりにくく演じます、というわけにはいきません(笑)。人ひとりが考え得ることってたかが知れているじゃないですか。人から影響を受けなければ成長はないと思うし。かといっていつも迎合しているわけではありません。どこを受け入れ、どこは自分を貫くのか、試行錯誤を繰り返しながら自分なりにバランスを取っているような気がします。また、撮影できる時間は決まっていますから、極端なことを言えば「今は巻いたほうがいい」ということもあるじゃないですか(笑)。一方で、時間をかけてでも印象的に撮るべきカットというのもありますから、その都度、大切にするものが変わる。「優先すべきものはいつでも変えられる」くらいの心持ちでいたほうがいいと思うんです。

——10代から多くの役柄を演じていらっしゃいます。役作りはどうされているのでしょうか。

ドラマの場合、役をいただいた時点で台本が最終話まであるのはまれ。つまり、自分なりに、役柄のバックボーンを想像して固めておいても、ストーリーが進むうちに思っていたのとは違う人物像になってしまうことも少なくありません。ですから、ドラマでは人物像も芝居も固めずに演じていくようにしています。そのほうが柔軟に対応できます。

——最初から台本が完成している舞台や映画の場合はどうですか?

たとえば小説を読むと、情景が浮かんで、登場人物の話し方とかキャラクターを想像しませんか? それって結局、小説の世界に入り込みながら“こうあってほしい”イメージを登場人物に抱いているのだと思うのですが、それと同じで、自分が演じる役柄は、僕だったら“どうあってほしいか”を最初に考えているような気がします。あとは現場の雰囲気や共演者の熱量など、その日その日で違いますから、それを感じながら微調整していきます。

——先ほど、わかりにくい作品が好きだとおっしゃっていましたが、間宮さんは難役を演じることが多い気もします。わかりにくい役柄はどう理解を深めていくのでしょうか。

そこは好きなように解釈しています(笑)。難解な役は、自分本位に解釈するしかないかな、と。“好きなように解釈する”ってことは、“嫌いなように解釈”することもできるので、なかには自分は嫌いだと感じながら演じた役柄もあったと思います。

映画は“身構えて”観たい

——今夏、漫画を原作とした映画『東京リベンジャーズ』が公開されます。間宮さんが演じるのは、主人公と敵対する“稀咲”。

『東京リベンジャーズ』は主人公たちが熱く、アグレッシブに“不良をしている”物語なので、現場では熱い芝居が飛び交います。そうしたなかでもひんやりとした瞬間があって、それが稀咲の登場シーン。“不良少年”って男子が憧れる存在だったりもしますが、一方で恐ろしい事件を起こしたりもする。そのダークな一面を担うのが僕の役割かな、と。冷たくて重たい質感のある存在になればいいのかな、と思って役作りしました。

——自分の役が作品のなかでどのような役割を担うべきなのかを考えて演じていらっしゃるのですね。

それも作品によりますね。求められている役割を放棄して、自分が感じた通りに演じることもありますので。ただ、『東京リベンジャーズ』は、求められている役割に従うべきだと思いました。というのは、原作が漫画だから。漫画ファンの多くは、自分のなかに正解を持っていらっしゃいます。実写化されたときに、キャスティングに賛否両論の意見が飛び交うのも当然かな、と。そういう意味で、原作を熟読されているファンの方々が抱く稀咲のイメージを大切にすることを意識して演じました。

——作品の見どころを教えていただけますか。

大筋の見どころでいうと、不良たちの“熱い生き様”でしょうか。物語は過去と現在(未来)2つの時系列で進行します。10代ではバカやって全力で生きている姿、大人になってからは社会でもがく姿が描かれています。かつて“悪さ”をしていた年代の方が見ても、昔を思い出して、ほろっとしていただける映画だと思います(笑)。

——若い人だけが観る映画じゃないぞ、と(笑)。

はい。もちろん若い方も楽しめると思いますけど、今の時代はヤンキーが減っていると思うので、年代が上の方にも「あのときは俺たちも熱かったな~」と、共感していただけるところが多いかもしれません。

——昨今、新型コロナウイルスの流行によってエンターテインメント業界は多大な影響を受けています。俳優として、また、映画ファンのお一人として、今後のエンタメ業界に対して感じていることがあればお聞かせください。

コロナも大きな要因ではありますが、近年、映画業界に一番大きな影響を与えたのは、配信動画サービスの発展ではないでしょうか。もっとさかのぼれば録画機能の発達なども関係していますが。その昔は、映画館や劇場に出向き、お金を払って観るのが映画や演劇でしたし、家族とチャンネル争いをしながら、テレビの前で陣取って観るのがテレビドラマでした。つまり、自分が観たいものを楽しむには、お金や貴重な時間などいくつかのハードルを越える必要があったわけです。録画や動画配信サービスは、こうしたハードルをガクンと減らしましたよね。今なら通勤や通学時間の30分でも映画やドラマが楽しめます。観たいシーンは何度も観られるし、逆に観たくないシーンはスキップもできます。ただ、僕は“ながら見”というのができなくて。観るということに対してきちんと身構えたい。「これから観るぞ」という身構えというか覚悟を持って観たいし、それがワクワク感につながるようにも思うんです。

——なるほど。「これから観るぞ」という身構えや覚悟を持ってこそ楽しめるというのは、よくわかります。

映画館は、コロナの影響もあってますます苦しい状況にあると思います。今後、どういうシステムが生まれ、どう変わっていくのか、想像もできないし、それが僕たちの仕事にどう影響を与えるのかはわかりませんが、僕自身は映画館という場所が大好き。どんなに時代が変わっても残り続けてほしいし、自分の映画はスクリーンで観てほしいと思います。とはいえ配信サービスを否定するつもりはまったくなくて、それ自体は素晴らしいと思っています。ハードルが減ったことで、映画やドラマに触れる人は絶対に増えたと思うんですね。特にコロナ禍の“おうち時間”では、観たいものが居ながらにして観られるのは助かります。言うなれば、動画配信サービスは、僕が小学校時代に通っていたDVDレンタル店。新作はほとんど観たから旧作をあさってみるか、という風に選べるわけじゃないですか。そうやって手軽に映画やドラマに触れるうちに、その人にとっての重要な出合いが見つかることもある。そこに期待しています。

憧れは昭和の“銀幕スター”

——間宮さんには、このたび「クーリッシュ」の新CMにご出演いただいています。撮影のご感想は?

楽しかったです。僕自身、なんとなく小さな子に好かれるタイプではないと思っていたので不安もありましたが、彼女とは相性も良く、魅力的なCMになったのではないかと思います。

——アイスの思い出があればお聞かせください。

僕にとってアイスは部活帰りのイメージです。中学生のころ、クーリッシュがすごくはやっていて。男子校だったのですが、部活終わりに毎日のように仲間とクーリッシュを食べていました。

——部活は何を?

野球ですね。小学1年生から9年間、やっていました。今も見るのは好きです。ちょうどシーズンが始まったのでテレビを通して観戦しています。

——ふだん体力づくりなどで気をつけていることは?

体力づくりというわけではないのですが、筋トレを始めました。1年ほど前に減量した際、「この顔で華奢(きゃしゃ)な身体がついているのはアンバランスだな」と。自分で言うのもなんですけど、身体ががっちりしていそうな顔じゃないですか(笑)。それからは自己流でトレーニングしています。

——このインタビューでは最後に「うれしかった出来事」と「好きな言葉」を伺っているのですが、まずうれしかった出来事を教えていただけますか?

最近、俳優仲間が出演しているドラマを観ているのですが、それが面白いことですね。10代のときの仲間と夢を追い続ける話なのですが、自分もそこにいるかのように感情移入して観ちゃいます。ゴールデンタイムで等身大の群像劇が放送されているということと、その内容に共感できることがうれしいです。

——20代後半の俳優仲間が大勢いらっしゃいますね。共演されることも多いと思うのですが、とてもいい波長が生まれているのではないでしょうか。

そうですね。対抗心というよりは仲間意識が強く、それがプラスに働いている気がします。

——では、好きな言葉をお聞かせください。間宮さんはエッセイも出版されていて文章を書くのもお好きだと伺いました。気に入ったフレーズなどはないですか?

「片手にピストル、心に花束、唇に火の酒、背中に人生を」。
ぱっと思い浮かんだフレーズなのですが、これ、すごいと思いませんか?

——ジュリーですね(沢田研二さんのヒット曲『サムライ』冒頭の歌詞で作詞は阿久悠)。昭和のヒット曲とは意外です。

映画も音楽も、年代に関係なく観て、聴いてきましたから。カラオケでもジュリーや河島英五さんの曲はよく歌います。

——このフレーズが間宮さんの心に響いたのはなぜでしょうか?

もちろんジュリーという歌い手の格好良さもありますが、耳で聴いたとき、こんな色気のあるフレーズあるかな、と。めちゃくちゃしびれました。

——お話を伺って思いました。間宮さん、こういう色気のある台詞がとてもお似合いです。

ほんとですか? こんな台詞(せりふ)を言える役柄を演じてみたいですね(笑)。僕自身、昭和の“銀幕スター”に憧れがあって、当時のムーブメントも好きなので、あの時代の空気をほうふつとさせる作品をやれたらいいなと思います。

取材・文 辻 啓子

間宮祥太朗(まみや・しょうたろう)
間宮祥太朗(まみや・しょうたろう)
1993年生まれ、神奈川県出身。2008年、ドラマ『スクラップ・ティーチャー~教師再生』(日本テレビ)で俳優デビュー。10年に長塚圭史演出の『ハーパー・リーガン』で初舞台に立つ。その後も数々の映画、テレビドラマ、舞台で活躍、16年ドラマ『ニーチェ先生』(読売テレビ)で浦井健治とともに初主演を務め、17年映画『全員死刑』で映画初主演。18年NHK朝の連続テレビ小説『半分、青い。』に出演。19年に映画『翔んで埼玉』『殺さない彼と死なない彼女』、20年の大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK)、21年『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS)など、次々と話題作に出演。今年2月には直筆エッセイ&フォトブック『色』(ワニブックス)を発売し、7月には人気コミックの実写映画『東京リベンジャーズ』が公開。
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