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2008年の映画デビューから11年、女優として着実にキャリアを重ね、優しさとしなやかさを増した土屋太鳳さん。いつもまとっているふんわりとしたイメージは、演じる役によって一変します。様々な表情とたぐいまれな身体能力を兼ね備え、どんな役も器用に演じ分ける土屋さんに、仕事への向き合い方を伺いました。

「迷わなければ、迷路からは出られない」。勇気をくれたファンの一言

——インスタグラムやブログで日々のできごとを頻繁に発信されていますね。お仕事の合間に書いているのですか?

帰宅してから書くことが多いです。移動時間に書こうとしても、たいてい次の仕事のことで頭がいっぱいで考えがまとまらないので、全部終わった帰り道に「今日はこんなことを伝えよう」と決めて、家に着いてから落ち着いて書きます。投稿する前に推敲(すいこう)したり、時には姉に見せて「この文章、変じゃない?」って相談したり。自分だけの視点にならないよう気をつけています。

雪見だいふくのCM~「おもちのばし」のシーン

——ファンとのコミュニケーションツールとして活用されているのでしょうか。

そうですね。歌手の方のようにライブやコンサートなどでファンの方々に会えるといいのですが、女優の仕事をしていると、直接気持ちを伝えられる機会がなかなかなくて……。コミュニケーションをとれる場がほかにないので、なるべくまめに投稿しています。自分が発信できる立場にあるなら、積極的につながりたい。皆さんからアドバイスをいただきたいという気持ちもあります。

——実際に、何かアドバイスをもらったことはありますか?

あるファンの方から、「迷わなければ、迷路からは出られない」というコメントをいただいて、勇気づけられました。確か、NHKの連続ドラマ『まれ』に出演した後くらいだったと思います。お芝居はやればやるほど難しく、どうしてうまく表現できないんだろう、どうしたら周囲の人たちともっと上手にコミュニケーションがとれるんだろうなど、いろいろと悩んで苦しい時期でした。そのコメントを読んで、「そっか。迷ってもいいんだ」と思ったら、気持ちが楽になりました。ファンの皆さんの応援があったから、迷路を抜け出せたし、今もなんとか女優を続けていられるのだと思います。

演じる人物の「現実」に心を寄せる

——これまで様々な役柄を演じてこられましたが、役作りのために心がけていることはありますか?

その役の「現実」を思い描き、自分の心を役に寄せていくのが一番の近道だと思っています。下ごしらえをしないとお肉が軟らかくならないのと同じように、演じるのにも下準備が大事です。台本を読み込んだり、本で調べたりして、これから演じる人物の日常を想像し、役の人生を生きる気持ちで、普段からその人の感情に少しでも近づけるよう心がけています。

——そうした役作りの基本を身につけたきっかけは、何だったのでしょう。

いろいろな作品と出会い、試行錯誤してきたのですが、中でも私の役作りの「根っこ」になっているのが、16歳の時に出演した『日輪の遺産』という戦時中の悲劇を描いた映画です。その作品では、海軍大佐の娘で病弱な少女の役を演じました。時代背景や育った環境を知れば、彼女の気持ちがわかるかもしれないと、当時の軍人たちが通った神社や住んでいた邸宅など、ゆかりのある場所を訪ねたり、海軍大佐の娘になった気持ちで、お父さんへの手紙をしたためてみたりもしました。役作りのために体を絞ったのもその時が初めて。役にのめりこみ、演じることの面白さに気づいた大切な作品です。

雪見うさぎと共演

——役作りとはいえ、体重をコントロールするのは簡単なことではないですよね。

食べることが好きで、骨格がしっかりしているので、減量には人一倍努力が必要です。でも、いっぱい食べたいじゃないですか(笑)。だから、自分なりにストレスの少ない方法を探して、いろいろ試しています。時々、「どうして私だけこんなに努力しないといけないんだろう」とつらくなることもありますが、昔の女優さんが書いた本を読んだりして、「努力しているのはみんな同じ。自分だけじゃないんだ」と前向きに考えるようにしています。もともと体を動かすのは好きですし、運動するとスッキリします。

——土屋さんと言えば、ダンスが得意なイメージが定着していますが、今後、その才能を生かしていこうというお気持ちはありますか?

そうですね。24歳になり、以前と比べて体の可動域が狭くなってきている半面、今だからこそできる動きや表現というのもあると思うんです。大学でも学んできた舞踊という芸術を、表現の一つとして積極的に取り入れたいと思っています。筋肉の動かし方や、どの筋肉がどこにつながっているのかということを知るのも楽しい。たとえば、かかとの筋肉って、後頭部につながっているんです。デスクワークをする方は、かかとをゴルフボールのような硬いものでほぐすのがおすすめですよ。

——試してみます(笑)。ダンスのほかにも、歌に舞台にバラエティーにと、活躍のフィールドがますます広がっていますね。これから挑戦してみたいことや、演じたい役などはありますか?

女優として、「土屋太鳳がこういう役を演じたら、見てみたいよね」という役に出会いたいです。そういう役に巡り合えるよう、毎回、与えられた役を大切に演じています。また、明るい役と暗い役、穏やかな役と激しい役を交互に演じてみたいです。そうすることで、感情の“ふり幅”が大きくなって、演じることが一層楽しくなるだろうと思います。

取材・文 森 奈津子

後編につづく

土屋太鳳(つちや・たお)
土屋太鳳(つちや・たお)
1995年生まれ。東京都出身。2005年、スーパー・ヒロイン・オーディション ミス・フェニックスで審査員特別賞を受賞。08年映画でデビュー。15年、NHK連続テレビ小説『まれ』のヒロインに抜擢され、注目を浴びる。以降、数々のドラマに出演し、『カッコウの卵は誰のもの』(WOWWOW)、『チア☆ダン』(TBS)では主演を務めた。映画主演作は『青空エール』『トリガール!』『8年越しの花嫁』など多数。18年には『プルートゥ PLUTO』で舞台に初挑戦。16年、第40回エランドール賞 新人賞、第39回日本アカデミー賞 新人俳優賞、17年、第9回TAMA映画祭にて最優秀新進女優賞を受賞、18年には第41回日本アカデミー賞 優秀主演女優賞に輝く。同年の『第60回 輝く!日本レコード大賞』の司会も見事に務めあげ活躍の場を広げている。現在、日本テレビ系バラエティー『ぐるぐるナインティナイン』(毎週木曜日)の「グルメチキンレース ゴチになります20」に出演中。NHK・BSにて『Wの悲劇』(11月23日放送予定)が待機中。
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