ビタミンEは脂溶性ビタミンの一種で、活性酸素を取り除くはたらきがある栄養素の一つです。
活性酸素は老化や動脈硬化、がんなどの原因の一つと考えられています。
そのほかにも体内で複数のはたらきを担っており、健康維持や病気予防のために意識して摂取しておきたい栄養素です。
この記事では、ビタミンEが多く含まれている食べ物や必要な摂取量、不足や過剰摂取による影響などについて詳しく解説していきますね。
1.ビタミンEとは
ビタミンEは油に溶けやすい性質を持つ脂溶性ビタミンの一種です。
ビタミンEと呼ばれる物質にはいくつか種類があり、それらを総称してビタミンEと呼ばれています。
ビタミンEの特徴は強い「抗酸化作用」を持つことです。
増えすぎるとさまざまな悪いはたらきをする活性酸素をビタミンEが取り除き、悪影響を防いでくれるのですね。
一定量のビタミンEを含む食品は、「抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける」として栄養機能表示をすることが認められています。
抗酸化作用を持つビタミンEは、美容や健康のために積極的に摂取しておきたい栄養素といえますね。
2.ビタミンEを豊富に含む食べ物
ビタミンEはどんな食べ物から摂取できるのか気になるところですよね。
ビタミンEはナッツ類をはじめとしたさまざまな食べ物に含まれています。
ここからはビタミンEが効率的に摂取できる食べ物を植物性食品と動物性食品に分けてご紹介しましょう。
2-1.ビタミンEを豊富に含む植物性食品

ビタミンEは、ナッツ類をはじめとした以下のような植物性食品に含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
アーモンド | 炒り、無塩 | 29.0mg |
ドライトマト | 乾燥 | 18.0mg |
ヘーゼルナッツ | フライ、味付け | 18.0mg |
落花生(大粒種) | 炒り | 10.0mg |
モロヘイヤ | 生 | 6.5mg |
西洋かぼちゃ | 生 | 4.9mg |
しそ(葉) | 生 | 3.9mg |
ほうれん草 | ゆで | 2.6mg |
黄大豆(国産) | 乾燥 | 2.3mg |
豆乳(調整豆乳) | – | 2.2mg |
ここで紹介している食品のほか、ビタミンEはベニバナの種子を原料とする「サフラワー油」やマーガリンといった植物性油脂にも多く含まれています。
さまざまな食材をこまめに取り入れて、食事全体での摂取量を増やしていくと良いでしょう。
2-2.ビタミンEを豊富に含む動物性食品

ビタミンEは以下のような動物性食品にも含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
すじこ (しろさけ) |
– | 11.0mg |
ツナ缶 | 油漬け | 8.3mg |
サーディン (いわし)缶 |
油漬け | 8.2mg |
うなぎ (養殖) |
生 | 7.4mg |
たらこ (すけとうだら) |
生 | 7.1mg |
はまち (養殖、皮なし) |
刺身 | 5.5mg |
ぎんだら | 生 | 4.6mg |
ほたるいか | ゆで | 4.5mg |
めかじき | 生 | 4.4mg |
卵黄 | 生 | 4.5mg |
手軽にビタミンEを摂りたい場合は、ツナ缶やすじこなどを副菜として取り入れてみるのもおすすめですよ。
3.ビタミンEの不足や過剰摂取による影響
ビタミンEが不足したらどうなるのか、反対に摂取し過ぎたときには悪影響が及ばないのか気になりますよね。
ここでは、ビタミンEの不足や過剰摂取によって起きる身体への影響について説明します。
3-1.ビタミンEの不足による影響
通常の食事を摂取していれば、ビタミンEの不足によって健康に悪影響が起こることはほぼありません。
ビタミンE不足によって起こる神経や筋肉の障害は、動物でみられることはありますがヒトではほとんどみられないといわれています。
ただし、ビタミンEの血中濃度が極端に低くなると赤血球が破壊される「溶血」がみられるともいわれています。
そうはいっても、日本人の平均的なビタミンEの血中濃度は健康上問題のない値のため、過度に心配する必要はないといえるでしょう。
3-2.ビタミンEの過剰摂取による影響
ビタミンEの過剰摂取についても、通常の食事から摂取している分には問題はありません。
しかしサプリメントを用いた実験では、「冠動脈疾患」の発症を抑制するのに有用であったという報告がある一方で、疾患へ悪い影響があるという報告もなされています。
また動物実験においてはビタミンEの過剰摂取と骨粗鬆症の関連を示唆する報告もあるようです。
ただしこれらの悪影響はまだ明らかにされていません*1。
サプリメントで度を超えた摂取を長期的に続けるといったことがないかぎりは身体への影響を心配することはないでしょう。
4.ビタミンEの食事摂取基準と摂取状況
そもそも普段の生活でどれくらいのビタミンEを摂取しているのか、気になっている方もいらっしゃいますよね。
ここでは、目安となるビタミンEの摂取量や平均的な日本人の摂取量をご紹介します。
4-1.ビタミンEの食事摂取基準
厚生労働省は、1日に摂取すべき栄養素の目安となる「食事摂取基準」を公表しています。
ビタミンEの食事摂取基準は、以下のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
目安量 | 耐容 上限量 |
目安量 | 耐容 上限量 |
|
18〜29歳 | 6.0mg | 850mg | 5.0mg | 650mg |
30~49歳 | 6.0mg | 900mg | 5.5mg | 700mg |
50~64歳 | 7.0mg | 850mg | 6.0mg | 700mg |
65~74歳 | 7.0mg | 850mg | 6.5mg | 650mg |
75歳以上 | 6.5mg | 750mg | 6.5mg | 650mg |
妊婦や授乳婦の方は、年齢にかかわらず以下の値が目安量として定められています。
妊婦 | 6.5mg | |
---|---|---|
授乳婦 | 7.0mg |
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20〜29歳 | 6.6mg | 5.5mg |
30〜39歳 | 6.8mg | 6.6mg |
40〜49歳 | 6.8mg | 6.0mg |
50〜59歳 | 7.2mg | 6.8mg |
60〜69歳 | 7.8mg | 7.4mg |
70〜79歳 | 7.8mg | 7.4mg |
80歳以上 | 7.1mg | 6.1mg |
どの年代も、食事摂取基準とほぼ同じか上回る量のビタミンEを摂取できていることがわかりますね。
よほど栄養バランスの偏った食事でなければ、ビタミンEは必要な量を摂れていると考えて良いでしょう。
5.まとめ
ビタミンEは脂溶性ビタミンの1種で抗酸化作用があります。
抗酸化作用とは動脈硬化やがん、老化などの原因物質と考えられている活性酸素を抑えるはたらきのことです。
ビタミンEはナッツ類や油脂類、魚介類などに多く含まれています。
通常の食事からの摂取であれば、不足や過剰摂取によって健康に悪影響を及ぼす心配はありません。
ただし極端に食事が偏ると不足してしまうことも考えられますので、ビタミンEを多く含む食べ物はもちろん全体的な栄養バランスも意識してみてくださいね。