ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説

ビタミンB1は水溶性ビタミンの一種で、糖質を体内でエネルギーとして使う際に重要な役割を果たしています

十分に摂取できていないとエネルギー不足となって身体に影響を及ぼすため、意識して摂りたい栄養素の一つといえますね。

この記事では、ビタミンB1のはたらきや多く含まれる食べ物、健康のために必要な摂取量などについて詳しく解説します。

1.ビタミンB1とは

ビタミンB1は食べ物や飲み物に含まれる「糖質」を体内でエネルギーに変えるのに不可欠な栄養素です。

糖質とは
ヒトの体のエネルギーとなる3種類の栄養素のうちの一つです。体内でブドウ糖に分解され脳や神経の主なエネルギーとなります。

糖質からエネルギーを生成するために必要なビタミンB1は、脳や神経系が正常にはたらくためにも重要な役割を担っているといえますね。

またビタミンB1には皮膚や粘膜の健康維持を助けるはたらきもあります。

2.ビタミンB1を豊富に含む食べ物

ビタミンB1は動物性食品では肉類や魚介類など、植物性食品では穀類や豆類などに多く含まれています。

ここからは、ビタミンB1を効率的に摂取できる食べ物を動物性食品と植物性食品に分けてご紹介していきましょう

2-1.ビタミンB1を豊富に含む動物性食品

ビタミンB1は動物性食品では豚肉などに多く含まれています

【ビタミンB1を多く含む動物性食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
豚ヒレ肉(赤肉) 1.32mg
豚もも肉(赤肉) 0.96mg
生ハム 0.92mg
ボンレスハム 0.90mg
豚ロース肉
(赤肉)
0.80mg
豚肩肉(赤肉) 0.75mg
うなぎ 蒲焼き 0.75mg
たらこ 0.71mg
ショルダーベーコン 0.58mg
かつお節(削り節) 0.38mg
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」をもとに執筆者作成
「普段肉類はあまり摂れていないかも……」

という方は意識して普段の食事に取り入れてみると良いでしょう。

2ー2.ビタミンB1を豊富に含む植物性食品

ビタミンB1は、種子類ではごまなど、豆類では大豆など、大豆、また玄米などにも含まれています。

【ビタミンB1を多く含む植物性食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
ごま 乾燥 0.95mg
大豆
(国産・黄大豆)
乾燥 0.71mg
ごま 炒り 0.49mg
あずき 乾燥 0.46mg
落花生(大粒種) 乾燥 0.41mg
ベーグル 0.19mg
大豆
(国産・黄大豆)
ゆで 0.17mg
玄米ごはん 0.16mg
ライ麦パン 0.16mg
イングリッシュマフィン 0.15mg
あずき ゆで 0.15mg
発芽玄米ごはん 0.13mg
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」をもとに執筆者作成

乾燥させて水分が抜けたごまや大豆などは、同じ重さの他の食品と比較するとビタミンB1の含有量が多くなっていると考えられます。

1回あたりの摂取量は多くはありませんが、おかずやごはんに混ぜたり振りかけたりすれば手軽にビタミンB1の摂取量を増やすことができそうですね。

また普段食べているごはんや食パンを玄米やライ麦パンなどに変えることでも、ビタミンB1を多く摂取できますよ。

3.ビタミンB1の不足や過剰摂取による影響

ビタミンB1が不足するとどうなるのか、反対に摂り過ぎてしまった場合に体に悪影響が及ばないか心配な方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここからはビタミンB1の不足や過剰摂取によって起きる身体への影響について説明していきましょう。

3-1.ビタミンB1の不足による影響

ビタミンB1が不足すると糖質を摂取してもエネルギーに変えられず、エネルギー不足になってだるさや疲労を感じるようになります。

普段の食事から十分にビタミンB1を摂取できていない状態には注意が必要です。

また、糖質やアルコールの摂り過ぎによってより多くのビタミンB1が消費され不足してしまうケースもあります。

ビタミンB1の不足が深刻になると、エネルギーとして糖質を必要とする脳や神経系にも影響を及ぼすことがあります。

その代表的な例が「脚気(かっけ)」という病気です。

脚気とは
ビタミンB1の欠乏によって起きる病気です。初期には食欲の低下や身体のだるさがみられ、徐々に手や脚の知覚障害、動悸、息切れなどの症状が現れます。重症になると脚に力が入らず立つことができなくなったり、心不全を起こしたりすることもあります。膝の下を叩くと足が自然に跳ね上がる「膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)」が見られない場合には脚気が疑われます。

脚気はビタミンB1を多く含む玄米から白米を主食とするようになり副食が不足していた明治時代には「国民病」と呼ばれるほど広くみられていた病気でしたが、副食からビタミンB1を摂取できる現代では少なくなっています。

しかし、極端な偏食やインスタント食品・アルコールから糖質を摂り過ぎることが原因でビタミンB1不足となり発症する方もいるようです。

ビタミンB1を食べ物から十分に摂取することはもちろん、糖質の量など全体的な栄養バランスを意識することが重要だといえますね。

糖質について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

3-2.ビタミンB1の過剰摂取による影響

通常の食品を摂取していてビタミンB1の過剰摂取から体に悪影響が生じたという報告はこれまでにありません

体内に吸収されたビタミンB1はまず肝臓に蓄積され、肝臓でためられる量がいっぱいになると血液中の濃度が上がります。

血液中の濃度も上限まで満たされると、余ったビタミンB1は尿中に排泄されます。

そのため、ビタミンB1をたくさん摂ったとしても過剰摂取による悪影響は起こりにくいといえるでしょう。

ただし、サプリメントなどからビタミンB1を摂取し過ぎることには注意が必要です。

ビタミンB1であるチアミン塩化物塩酸塩1日に10g以上、2週間半にわたって摂取した場合に頭痛や不眠、いらだち、かゆみなどの症状が起きたという報告があります。

しかし、通常の食品であれば過剰に摂り過ぎてしまう可能性はほとんどないため、安心してくださいね。

4.ビタミンB1の食事摂取基準と摂取状況

「エネルギー不足にならないためには、1日にどのくらいの量を摂取したら良いんだろう?」
「普段の食事でビタミンB1は足りているのかな?」

現代では深刻なビタミンB1欠乏症は少なくなったといっても、普段の食事で十分に足りているのか気になりますよね。

ここでは、ビタミンB1を摂取する目安となる量と日本人の平均的な摂取量をご紹介します。

4-1.ビタミンB1の食事摂取基準

各栄養素の摂取量の目安として、厚生労働省は「食事摂取基準」を発表しています。

それによると、ビタミンB1の食事摂取基準は以下のとおりです。

【ビタミンB1の1日当たりの摂取推奨量】
性別 男性 女性
年齢 推定平均必要量 推奨量 推定平均必要量 推奨量
18〜49歳 1.2mg 1.4mg 0.9mg 1.1mg
50〜74歳 1.1mg 1.3mg 0.9mg 1.1mg
75歳以上 1.0mg 1.2mg 0.8mg 0.9mg
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

妊婦・授乳婦の方については、年齢ごとの食事摂取基準に加えて摂取した方が良い量として付加摂取量が以下のように定められています。

【妊婦・授乳婦のビタミンB1の1日当たりの摂取推奨付加量】
推定平均必要量 推奨量
妊婦・授乳婦 +0.2mg +0.2mg
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

4-2.ビタミンB1の摂取状況

ビタミンB1を普段の食事で十分に摂取できているのか、それとも意識してさらに多くのビタミンB1を摂った方が良いのか気になりますよね。

厚生労働省が行った「国民健康・栄養調査」によると、ビタミンB1の1日当たりの平均摂取量は以下のようになっています。

【ビタミンB1の1日当たりの平均摂取量】
年齢 男性 女性
20〜29歳 1.08mg 0.83mg
30〜39歳 1.01mg 0.85mg
40〜49歳 0.97mg 0.83mg
50〜59歳 1.03mg 0.84mg
60〜69歳 1.01mg 0.89mg
70歳以上 0.96mg 0.83mg
厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査」をもとに作成

食事摂取基準と国民健康・栄養調査では年齢区分が異なるため単純な比較はできませんが、推定平均必要量を下回っていることが分かりますね。

普段から糖質の摂取量が多い方や、日頃の活動量の多い方はより多くのビタミンB1を必要とする点にも注意が必要です。

ビタミンB1を多く含む食べ物を普段から意識して取り入れていきましょう。

5.まとめ

ビタミンB群の一つであるビタミンB1は糖質をエネルギーに変換するために不可欠な栄養素です。

ビタミンB1が不足すると疲労感などが現れるほか、糖質が分解して作られるブドウ糖を主なエネルギー源としている脳や神経にも影響を及ぼすことがあります。

日本人は全体的にビタミンB1の摂取量が不足傾向にあるため、普段から意識してビタミンB1を多く含む食事メニューにすることが大切です。

また普段から糖質やアルコールを多く摂りがちな方はビタミンB1をより多く消費してしまいます。

さらに、極端に偏った食生活を送っている場合はビタミンB1の摂取量が不足してしまうこともあるため注意しましょう。

ビタミンB1をしっかりと摂ることはもちろん、全体的な食事のバランスも意識してくださいね。