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小梅ちゃん「初恋すとおりい」

第3話

(真の家)綾小路家は大変な事態を迎えていました。
綾小路のお家そのものが経済的な危機に陥っていたのです。
そして綾小路家を存続させるために、資産家令嬢と真との縁談が持ち上がっていたのです。

真は悩みました。
自分の将来は、自分のこの手の中にはないのだろうか。
この話が小梅の耳に入らないことを、切に願うのでした。

中略

(真の縁談話が小梅の耳に入り)真様もきっと苦しんでいらっしゃるに違いない。
想いを寄せる人が苦しむこと、それを思うと小梅の胸はますます痛むのでした。
身を退くのは自分であることを、小梅は知っていました。

中略

(小梅は真に)「ご婚約、おめでとうございます」と。
そして自分も(東京を離れて)神戸の親戚のもとで働くつもりであることを話したのです。

中略

しかし真は、神戸に行くことにした小梅の真意を誤解しました。
神戸というハイカラな町に惹かれて行くのだと思ったのです。
真は落胆し、引き止められない今の自分を責めました。
そんな真の微妙な心の変化までは、小梅には見抜けません。

中略

小さな誤解が生まれたとて、離れがたい想いがふたりの間に流れていました。
真様とはもうお会いできないかもしれない。
そう思うと、小梅にとって目に映るすべての光景がいとおしく、そして美しく思えるのでした。

中略

人は、失ったときに、初めてその大切さを知るもの…。
小梅はあらためて真への想いを深くしたのでした。

この物語は近代出版社刊「小梅ちゃん 初恋すとおりい」(林静一著)に収録の「小梅恋物語」(吉元由美著)を抜粋して掲載しております。原作からの<中略>箇所は中略を用いて表示しております。