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小梅ちゃん「初恋すとおりい」

第4話

(神戸への)出発の時刻が近づいてきました。
列車の窓越しに家族と別れを惜しむその向こうに、静かに立っている人がいました。
学生服姿のその人は、まぎれもない真でした。

中略

真は列車の窓に近づき、一冊の本を手渡しました。

中略

(列車の中で)小梅は膝の上の本を広げました。

中略

中ほどのページに、手紙が挟んでありました。

詩集に挟まれた手紙には、綾小路家とは違う住所が記され、男の人の名前の後に「方」と書かれていました。
そして「連絡されたし」という一行。
そのページにあったのは「雲雀(ひばり)へ」という詩でした。

初めて読む英国の詩は少し難しいような気もしましたが、空高く自由に舞う雲雀の姿が目に浮かんできました。

そこに真の願いを見る思いがして、小梅は理解しようと何度もその詩を読みました。

しかし小梅は、真に手紙を書こうとは思いませんでした。
もうお別れしたのですから。お互いの立場の違いは、どんなことをしても埋められるものではないと、よくわかっていたのです。

この物語は近代出版社刊「小梅ちゃん 初恋すとおりい」(林静一著)に収録の「小梅恋物語」(吉元由美著)を抜粋して掲載しております。原作からの<中略>箇所は中略を用いて表示しております。