正直なところ、彼は「営業」の仕事に対して、入社するまであまり具体的なイメージを持っていなかった。「何事もやってみなければわからない」。そんな思いを持っていた。ただ、唯一彼が思い描いていたのは、「菓子のトップメーカーであるロッテなら、商品を店側に採用してもらえる」と考えていたこと。しかし、この考えは甘かった。
入社2年目。彼は、関東に約60店舗を展開するスーパーと、3社の私鉄売店の本部担当をしていた。入社して約半年は先輩の営業活動に同行し、取引先にどんな提案をするのか、バイヤーとどんな会話をするのか、一から学んでいった。そして1年目の秋、先輩から担当企業を引き継いだ。「引き継いだばかりの頃は、仕事をしていく上で分からないことが山のように存在しました。先方からの依頼にどう応えるべきか、売場での問題はどう解決したらよいか、社内書類はどのように作成したらよいか・・・など、未経験のことが数多くありました。また、何よりも取引先との商談を進める中で、『ロッテだから』という言葉は通用しないということを知りました」。
そんなとき、彼は決まって上司や先輩に相談をした。上司や先輩は、自分の意見をしっかり伝えれば、様々なアドバイスをくれる。彼の上司は、日頃からの報告・連絡・相談はもちろんのこと、「情報共有」が特に重要だとメンバーに伝えている。「個人業務が多いように思われる営業ですが、それぞれが常にアンテナを張り、取引先で得た情報や市場のトレンド、さらに直接仕事には関係の無いニュースも積極的に部署内で共有しています。例えば『最近TVでチョコレートがこんな風に特集された』とか『新聞に○○線開通によって○○駅に人の流れができたと出ていた』とか『世間では今○○が流行っている』など。こうした情報共有が、商談内容に説得力を持たせたり、売場でのアイデアとなって成功事例に結びついたりして好循環を生み出しています。さらに、それが先方からの『信頼』に繋がり、よりよい関係を築く鍵にもなります」。個人プレーに思われがちな営業の仕事だが、実はチームプレーとも言えるのである。

入社1年目の冬。社内である会議があった。店舗フォローを担当する女性パート社員を対象に、彼が商品の説明を任されたときのこと。会議後、一人の先輩からこんなことを言われた。「今任されている仕事を120%できない社員に、他の仕事を任せられるわけがない」。彼はこの言葉に衝撃を受けた。任された仕事を軽んじていると指摘され、自分の準備不足を反省した。この言葉が、その後の彼を大きく変えた。2年目の夏、担当取引先へ秋季新商品・売場提案のプレゼンテーションを行ったときのこと。「約1ヶ月前に商談の準備を始めたとき、私一人の力では先方を満足させるプレゼンは難しいと考えました。そこで、プレゼンの日程が決まってから上司や先輩はもちろん、他部署の先輩に自分の考えを伝え、指導・協力をしてもらいました。店舗を定期的に訪問して自ら購買データを収集し、何度も資料を作成し直し、多くのメンバーからアドバイスをもらって自分にできる精一杯の準備をしました。そして、最終的に『ここまでやってくれたのはロッテさんだけだよ』と先方からお褒めの言葉をいただくことができました。先方は、私が特に時間をかけて収集したデータの説得力を高く評価してくださったようです。先輩や上司にその報告をしたとき、もちろん喜んでくれました。しかし同時に、『ここはもっとこうした方が良い』とか『次回はこんな提案が入ると良い』というアドバイスもたくさんもらいました」。
褒められるだけで終わることは決してない。彼に期待しているからこそ、周囲も彼にもっと高いものを求めている。先輩からの言葉がなければ、彼はここまで成長できなかっただろう。「取引先や社内メンバーとの信頼関係があって初めて、商談は成立することを学びました。営業の仕事は、人間としての魅力がいつも問われる仕事だと実感しています」。そう話す彼の目は、いきいきと輝いていた。

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