すでに入社12年目になるバリバリの中堅選手である彼だが、この部署にはさらに経験を積んできた社員が多くいる。それだけ、難しく奥深い仕事を担当する部署だということがうかがえる。というのも、全国チェーンのCVSともなれば、一度の取引で扱われる商品の数量は極めて膨大になる。つまり、売上額が大きいだけに、会社の業績にも大きな影響を及ぼすのである。だが、その一方でCVS各店舗の売場面積は小さく、過剰在庫も許されない。すなわち、限られたスペースの中で独自性のある売場展開・販促戦略を提案するのと同時に、欠品も売れ残りも出さない取引数量の見極めに各メーカーの営業はしのぎを削っている訳だ。したがって「今回のキャンペーンでは、これだけの売上が見込めます」といった提案を取引先のMD(マーチャンダイザー※注1)へ行う際にも、きっちりとした数字の裏づけを示すことがとても重要。「気合い」や「根性」だけではとても勝ち抜けない、論理的な思考力が求められる世界なのである。完璧なプレゼン資料を作成するために、時には作業が深夜にまで及ぶこともあるという。「ただ、だからこそ、自分の組み立てたロジック通りに企画が進んだ時の達成感はまた格別。商品力のみに頼らず、自分のアタマで勝負している手応えを実感できるからです」。そう。自らの頭脳を何よりの武器として、彼は熾烈な戦いに立ち向かっている。

先ほども触れた通り、スペースが限られたCVSでは、いかに印象に残る売場演出をするかが非常に重要となる。取引先も、そうした企画のアイデアを求める傾向が最近は特に高まっている。そのようなニーズに、彼が示した提案例のひとつ。それが夏休みシーズンに実施した、ミニカーメーカーとのタイアップ企画「ロッテのお菓子を買うとミニカーグッズが当たる」販促キャンペーンであった。「CVSの主要顧客は30代~40代の男性。それらの層に、ミニカーは密かなブームとなっていましたし、お子さんと一緒にCVSへ足を運んでいただける機会もつくれると思いました。新たな需要が掘り起こせる可能性をそこに感じました」。またも彼の頭脳が鮮やかに機能した…かと思ったら「いや、ただ自分の好きなことを企画にしただけです」と、意外な答えが返ってきた。「このアイデアは、子供と遊んでいる時に思いついたもの。私も消費者のひとりですから。消費者目線のふとしたひらめきも、提案を考えるうえでとても大切にしています。部署内でも、自分の趣味を企画の出発点にしている人は多いですよ」。型にはまった論理性だけでは不十分。そこに、やわらかい自由な発想がプラスされることが良いアイデアへの鍵となる。実に難解で面白みのある仕事である。だからこそ、大きな醍醐味が味わえるのだろう。

※注1:商品開発から販売計画・予算管理など、トータルに商品計画を決定、管理する責任者のこと。

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