ロッテは、若い社員にも責任ある仕事を任せる会社だ。そうは聞いていたものの、任されるスピードは彼の予想を遥かに超えていた。何と入社1年目の夏前には、浦和工場で生産するアイスに使う原料の発注および在庫管理を担当することに。浦和工場では「爽」「雪見だいふく」「クーリッシュ」ほか、ロッテの主要なアイス製品を製造している。その原料調達を実質的に一人で受け持つというのだから、彼にどれほどのプレッシャーがのしかかっていたかは想像に難くない。もちろん発注数量は生産計画に基づいて予め決められる。とはいえ、アイスは天候の影響を非常に受けやすい商品だ。天候に応じて増産・減産が繰り返され、週によってトン単位で使用原料が変動することも珍しくない。それを見越して、発注数量を柔軟に調整しなければならない。「原料切れで工場がストップすることも、原料が余って賞味期限切れを起こし廃棄することも許されません。生産のどこかに問題が生じていないか、常に神経をすり減らしています」。そんな彼の心配がある日、現実のものになってしまった。雪見だいふくの表面にかける粉の使用量を少なく見積もってしまったのだ。前夜になり「このままでは明日の生産が停止してしまう」ことが発覚。仕入れメーカーに頼み込み、四方八方手を尽くして、どうにか最悪の事態は回避したものの、何とも不安な一夜を過ごしたという。

「あの時はメーカーさんにも生産現場にも、本当に迷惑をかけてしまいました。それと同時に、事前の情報収集がいかに大切かも改めて学びました。予め生産現場や関連部署とコミュニケーションをとっていれば、『そろそろ、あの原料が底をつきそうだ』とか『近々、増産がありそうだ』などの把握や対策ができます。私は『生産現場の司令塔』というフレーズに魅力を感じて、原料調達部門への配属を希望しました。でも、いまはまだ下手なパスばかり出して、生産現場の足を引っ張っている感じです。」のしかかるプレッシャーの大きさは、担っている役割が大きいことの裏返しでもある。その重要性を再認識した彼は、以来、出社するとまず工場に顔を出すことを日課としている。原料在庫を自分の目で確認。さらに生産課員との日々の会話の中から、現場のふとした変化も的確に掴みとれるように神経を研ぎ澄ましている。努力の甲斐あって、いまでは単に要望された数量発注をこなすだけでなく、明日の改善につながる提案を生産現場へ積極的に行えるようにもなった。「原料調達の際、缶単位ではなくタンクローリーごと仕入れた方が、生産設備に投入する手間が省けませんか?と提案したり。おかげで、工場の仕込み担当者からは『お前、だいぶまともになったな』って、お褒めの言葉をもらいました(笑)」。未来の生産現場の司令塔が、不動のエースとして認められる日は、もうそこまで迫っている。

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