入社2年目の秋、彼女がある得意先を担当するようになって2ヵ月後のことだった。
その得意先とは、全国規模で店舗を展開する業界大手のホームセンター。こうした大手企業の本部バイヤーに対して、ロッテと得意先双方の利益につながる企画を提案することが、彼女にとって重要な仕事のひとつである。若手社員に大きな得意先を担当させることは、ロッテにおいて決して特別な話ではない。その「風土」にのっとり、彼女もまた大胆に思い切った提案を得意先にぶつけたのだった。
彼女が提案したのは「全店舗のレジ前に、お菓子売場を設置しよう」というもの。ホームセンターのレジ前といえば、多くの場合電池などが既に並べられている。そこにお菓子を、しかも600近い店舗で。確かに興味深い提案ではあるが「果たして全店舗に設置できるのか?」「設置後、店側に商品補充等の余計な負担がかからないか?」バイヤーの脳裏にさまざまな不安がよぎるのも無理のないことであった。
それらの不安に対し、彼女は毅然として答えた。「大丈夫です」。根拠はある。彼女はあらかじめ全国のロッテ営業社員に協力を要請し、自らも何十店舗と足を運び、得意先のレジ前を丹念に調査して回っていたのだ。だからこそ、「その得意先に合ったオリジナルのディスプレイ(商品陳列棚)を作れば、どの店舗にも設置可能なこと」「設置後も、全国のロッテの店舗フォローを担当する女性パート社員が定期的に売場の商品を補充するため、店側には負担がないこと」を自信をもって答えることができたのである。
彼女の言葉を聞いて、バイヤーの不安はきれいに解消された。「ウチの店を私以上によく見てくれていますね。わかりました。すべてお任せします」。

「あの言葉をかけていただいた時は、本当にうれしかったですね。同時に、改めて感じたんです。得意先は『ロッテの商品』を求めているのではなく『ロッテの商品によって、抱えている経営課題が解決できる提案』を求めているんだ、ということを」。そう語る彼女の言葉には、経験した者にしか表現しえない実感がこもっている。
あえて繰り返すまでもないが、ロッテはお菓子のトップクラスのメーカーである。とはいえ、1日にして今のポジションを築き上げた訳では決してない。そこに至るまでには、会社設立当初からロッテ社員が信頼と実績を積み重ねてきた歴史がある。別の言い方をすれば、商品力とネームバリューに頼らない「自分にしかできない提案」を一人ひとりが行ってきたからこそ、トップクラスまで上り詰めることができたのである。
営業するたびに、その重みを痛感する彼女も「自分にしかできない提案」にとことんこだわる。たとえば、大勢の乗降客で賑わう空港の免税店も、彼女の得意先のひとつだ。いわば「東京の顔」ともいえる空港内の店舗に対して、季節に応じた「売場の表情」を独自に企画提案することは、大きな責任感を伴う仕事である。そのため彼女はプライベートの時間にも、これも「東京の顔」である東京駅に足を運び、行き交う人たちが何に興味を示すのか、そこで流行っている店ではどのような演出方法が採られているのかなど調査を欠かさない。単純にロッテ商品を売り込むのではなく、自らの調査と発想に基づく、オンリーワンの提案を実践するために。ロッテのブランドに甘えない社員たちの個々の取り組みが、ロッテを大きく成長させてきた。そのバトンを、彼女もまたしっかりと受け継いでいるのである。
そんな彼女にとって、現在の目標は「得意先から真っ先に相談される存在になること」だという。目標は着実に、現実になりつつある。

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