感性研究 おいしさを見える化する 感性研究 おいしさを見える化する

ヒトは五感を通じておいしい、と感じますだからおいしさの見える化には五感を鍛えるトレーニングが不可欠です ヒトは五感を通じておいしい、と感じますだからおいしさの見える化には五感を鍛えるトレーニングが不可欠です
2002年入社
感性研究課
R・K
2012年入社
感性研究課
E・S

「見て」「香りを嗅ぎ」
「パキっとした音を聞き」
「甘味と苦味のバランスを感じ」
「ゆったりとした口どけを楽しむ」
ヒトが例えばチョコレートを食べるとき、
五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)が
働きます。

これらの感覚がそのヒトにとって心地よいものであるとき、「おいしい」と感じます。
お客様が「おいしい」と感じられる食品の特性はなにか…
精確に評価できるよう、研究員は日々トレーニングを重ねています。
そのトレーニングの一つが味覚テスト。
年に数回、五味識別テスト※1および濃度差識別テスト※2を実施、自身の味覚レベルを把握すると同時に、識別能力を高めるトレーニングを行います。
味覚の基礎をしっかり固めたところで、さらに食品の特性を表すといったトレーニングも行っています。
なぜなら「カカオ感」や「なめらか」といった「言葉」を理解すること、また、その強さの度合いを精確に数値化できること、これらが達成できるようトレーニングを繰り返すことで、ヒトが感じた特性を客観的データとして扱うことが可能だからです。そこから得られたデータをもとに解析を行い、研究開発に役立てています。

味覚を鋭くするために、日々こころがけていること。 味覚を鋭くするために、日々こころがけていること。

2012年入社
チョコレート研究課
M・K

とりあえず食べてみる。そして感じたことを「言葉」におきかえる。 とりあえず食べてみる。そして感じたことを「言葉」におきかえる。

面白そうな食品だな、と思ったら、とりあえず食べて「言葉」におきかえます。
自分の好みではない食品であっても、「とりあえず」食べてみる!そして自分なりの言葉でその味を表現しています。
可能であれば、一人ではなく誰かと共に同じものを食べ、意見を共有し、一つの側面からだけではなく、多角的に評価するように意識しています。
味覚を鋭くするためには、辛いものや熱いもの、刺激が強いものは控えたほうがよいといわれています。が、私の場合は躊躇することなく食べますね。逆にそういう極端な刺激を与えることで表現の幅が広がるのでは、と感じています。

味覚レベルをあげることは新製品の開発に必要不可欠 味覚レベルをあげることは新製品の開発に必要不可欠

味覚レベルをアップすることは新製品の開発に必要不可欠です。世の中にあふれるおいしい食べ物をロッテのお菓子の味として再現したいと思った時、まずターゲットとする食品の味について基本五味や香りを軸に細かく分解していきます。次にパッケージのイラストを見なくてもお客様がそのターゲットとする味が再現できるように、「ロッテのお菓子」として再構成していきます。このような流れで味の設計を行っています。
ロッテでは毎日たくさんの製品が製造されており、味に異常がないかどうか、お客様に食べていただきたい品質に仕上がっているかどうかなど、研究員が最終確認を日々行っています。正しく品質をチェックするためには、味覚レベルを保つことは非常に重要なことです。

味覚レベルは日々の訓練で鍛えます。 味覚レベルは日々の訓練で鍛えます。

一般的に、味質に対する感受性は、食生活や加齢による影響を受けるといわれております。加齢により、味が濃いものを好むようになるのもそのためですが、日々のトレーニングにより、感受性をあげることはできると考えています。感受性をあげるために、私はそれぞれの味質を徹底的に記憶しています。
私にとって一番わかりやすいのはうま味です。舌に張り付くようなうま味成分は非常に特徴的です。非常に薄くて味気がなくおいしくない出汁のイメージです。苦味は舌の根元の部分で感じる舌の拒絶感を頼りに見分けています。
塩味は海水浴から上がったときの舌のピリピリ感、酸味は薄いレモン汁を口にした時の舌が萎縮する感じで見分けています。
一番難しいのは甘味です。入社したばかりの時は全くわかりませんでしたが、日々訓練をしていることで少しずつわかるようになってきました。甘味が非常に薄い水は、少しマイルドな味わいになるので、それを感じて識別しています。
感じ方は人それぞれですが、自分の中でしっかりと記憶することで精確に味を分析することができます。
味覚テスト
  1. 基本五味(甘味・塩味・酸味・うま味・苦味)がごくわずか入っている溶液および無味3個の計8個の溶液を用意し、どの溶液がどの味かあてるテストです。
  2. 濃度の異なる2つの溶液を提示し、各味の強い方をあてるテストです。(甘味・塩味・酸味・うま味が対象)

ヒトの五感をフル活用 食品の品質特性を評価する「官能評価」を実施しています ヒトの五感をフル活用 食品の品質特性を評価する「官能評価」を実施しています

「官能評価」。ヒトの五感を用いて事物を評価する手法を指します。
ロッテ中央研究所では、この「官能評価」を用いておいしさを評価しています。
ここでは中央研究所にてよく使用する評価をご紹介します。
TDS(Temporal Dominance of Sensations)法
ヒトがチョコレートを食べる時、口の中で溶けていく様子を感じると同時に味の変化を感じます。
最初に強いカカオ由来の苦味を感じた後にキャラメルのような味わいがきて、最後に甘味が少し残る・・というように。
そういった味の変化をわかりやすく図示化できる手法が、TDS(Temporal Dominance of Sensations)です。
例えば上図のようなTDSで表されるチョコレートは、「ミルク感やキャラメル感があり、中盤からくちどけのなめらかさを感じるミルクチョコレートである」ことがわかります。