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ロッテのお菓子のおいしさの秘密を探る「探検 お菓子の原材料」。今回は、サクサク食感がおいしい「クランキー」シリーズに含まれている、あのサクサクとした小さな粒々――モルトパフに注目しました。モルトパフの原材料は何か? どうやってつくられているのか? さっそく見ていきましょう!

モルトパフをつくる専用の機械。出口(丸い穴のところ)で生地に圧をかけて吐出されたものをカットすると、球状のモルトパフになる ※イラストはイメージです

小さな気泡がサクサク食感を生む!

モルトパフは、小麦やでんぷんなどが主原料です。これらを使って、サクサクとした粒状(これを、パフと呼びます)へ膨らませています。そのためにはまず、こうした原材料にモルトエキスや水分などを加えた生地をつくり、練り上げていくのです。

これがモルトパフです!

モルトとは麦芽、つまり発芽した麦のこと。麦芽は、ビールの原材料でもおなじみですね。この麦芽を、「糖化」することで、麦独特の苦みや香ばしさのある甘いエキス――モルトエキスを取り出すことができます。

このモルトエキスを加えてつくるパフなので、モルトパフと呼ばれています。そして、モルトパフが持つほのかな風味は、モルトエキスに由来するものです。

専用の機械を用いて、ロッテの工場でつくられる場合(上記イラスト参照)、順序としては、熱を加えて生地をよく練ったあと、強い圧力をかけて押し出す工程へ進みます。生地は小さな筒を通って外に出た瞬間に膨らみ、同時に粒状にカットされています。これでモルトパフの完成です。

モルトパフの一粒を拡大して見てみると、スポンジのように、たくさん穴がある構造になっています。そして、パフの中にある小さな穴(気泡)こそが「クランキー」のサクサク食感の秘密です。

ところで、モルトパフとチョコレートを組み合わせたら、モルトパフの穴の中にチョコレートが入り込んで、サクサク感が損なわれないのか? こんな疑問もありそうですが、パフのまわりは薄い膜のようになっているので、こうしたことは起こりません。

ちなみに、熱と圧力をかけてつくる仕組みは、お米などを膨らませた「ポン菓子」のつくり方に似ています。

ポン菓子の場合、米(などの穀物)を圧力釜のような機械に入れ、加熱することで密閉された機械内の圧力を徐々に高めていきます。その後、圧力が十分高まったタイミングで、機械のフタを開けて開放(減圧)すると、一気に膨らんで、ポン菓子ができあがります。

米そのものを原材料とするポン菓子に対して、モルトパフは複数の原材料を練って生地にして使うところが違いといえます。

の こだわり

開発のヒントは「おこし」だった?!

サクサクしたモルトパフ入りチョコの代名詞、「クランキー」の発売は1974年です。その少し前の1960年代後半ごろから、海外では軽い食感のチョコレートが流行していました。当時の研究員たちは、日本でもこういったチョコレートを生み出したい、と研究開発を進めました。

発売当時の「クランキー」と現在の「クランキー」

ただし、海外と日本では嗜好(しこう)の違いがあります。日本人向けの軽い食感のチョコレートとしてどんなものが受け入れられるか――。そこでヒントを得たのが、加工したお米などの穀物を飴(あめ)で固めた和菓子「おこし」です。

「『おこし』の代表的な原材料は、米を使ったライスパフ(ポン菓子)です。『おこし』のイメージをなぞって、仮にライスパフとチョコレートを組み合わせると、お米由来の甘味が強く出てしまいます。そこで試行錯誤の結果、チョコレートとの相性を踏まえ、モルトパフを使うことに。モルトパフを使うとより軽い食感になり、チョコレートの味わいを損なわず、しかも香ばしい味わいをプラスできます。これが『クランキー』のおいしさを支えています」(ロッテ中央研究所・チョコレート研究課 小川愛)

ヒントを得た、日本の伝統菓子でもある「おこし」(イメージ)

いまでこそモルトパフはお菓子作りなどでもよく使用されていますが、当時はそこまで一般的なものではありませんでした。ロッテでは当時、製造設備の改良も含めた試行錯誤を重ねて、一定の大きさのモルトパフを安定生産できる体制を整えました。こうして、半世紀近くにわたって愛され続ける「クランキー」が誕生したのです。

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