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30セント切手にはクリスマスを象徴するキャンディケインが、3ドル切手には連邦の国旗を模したクリスマスケーキが取り上げられている。このほか、国旗にメリー・クリスマスの文字を配した10セント切手、クリスマスツリーとセントキッツ島を描いた1ドル20セント切手を加えた4種セットで発行された。

カリブ海に浮かぶ小国セントキッツ・ネイヴィスで2009年に発行された、クリスマス切手の1枚では、さまざまな色を組み合わせたキャンディケインを取り上げていて、一番上には、連邦の国旗のデザインを模したものが配されています。

ステッキの形をしたキャンディケインは年間を通じて販売されているお菓子ですが、クリスマスツリーの飾りつけに使われることも多いため、各国のクリスマス切手では定番の題材のひとつになっています。

キャンディケインは、もともと、15世紀初めにフランスの修道院で作られたとされています。当初は、白一色でまっすぐな棒状の形をしていましたが、17世紀に現在のように持ち手の部分が曲がった形になりました。そのきっかけについては、諸説あります。

1670年にケルン大聖堂(ドイツ)の聖歌隊隊長が、キャンディを羊飼いの杖の形にして子どもたちに配ったのが始まりとする説や、ユール(北欧を含むゲルマン民族の冬至のお祭り)で木に飾りつけをするための道具などとする説があります。

いずれにせよ、現在ではキャンディケインは羊飼いの杖を表すものというのが一般的で、あわせて、上下さかさまにすると、“迷える子羊を導く”イエス(Jesus)の頭文字である「J」に見えるということで、クリスマスツリーの飾りとして定着しました。

古い時代のキャンディケインは単色のもののみでしたが、20世紀初めに紅白の縞模様が登場し、現在では色や味のバリエーションも豊富になりました。

セントキッツ・ネイヴィス連邦は、南北アメリカ大陸のはざま、大小の島々が連なる西インド諸島のリーワード諸島に位置するセントキッツ(セントクリストファー)島とネイヴィス島の2つの島から構成されており、1983年9月、英連邦加盟国として独立しました。

首都バセテールのあるセントキッツ島は、島の発見者であるクリストファー・コロンブスにちなみ、セントクリストファー島と命名されましたが、クリストファーの愛称(略称)のキッツをとって、セントキッツ島とも呼ばれています。

日本の外務省では、国名の日本語表記として“セントクリストファー”を採用していますが、肝心の同国外務省は、セントクリストファーとセントキッツのどちらも正式名称という立場をとっており、切手の国名表示はセントキッツになっています。やはり、セントクリストファーでは切手の小さな印面に記すには長すぎるということなのでしょうか。

セントキッツ・ネイヴィスの成り立ち表す国旗のモチーフ

国旗の2つの星は、セントキッツ島とネイヴィス島または「希望」と「自由」を象徴し、緑は砂糖のプランテーションとして栄えた肥沃(ひよく)な国土、赤は植民地時代の奴隷制から独立・解放への苦闘、黒はアフリカからの伝統(現在のセントキッツ・ネイヴィス国民の多くは、プランテーションの労働力としてアフリカから連れてこられた黒人奴隷の子孫です)、黄色は日光をそれぞれ象徴しているそうです。

2009年の同国のクリスマス切手は4種セットで発行されましたが、その中には、国旗を模したクリスマスケーキを取り上げた1枚もあります。ベースはチョコレートケーキのようですが、上面の赤はベリー系のジャム、白い星はマジパンでしょうか。緑の部分は、日本ならばほぼ確実に抹茶でしょうが、かの国ではミントかピスタチオの粉末を使うというのが現実的なのかもしれません。

内藤陽介(ないとう・ようすけ)
郵便学者。切手をはじめ郵便資料から国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を提唱し、研究・著作活動を続ける。著書に『日の本切手 美女かるた』(日本郵趣出版)、『みんな大好き陰謀論』(ビジネス社)、『日本人に忘れられたガダルカナル島の近現代史』(扶桑社)など多数。
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