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今回はお菓子の製造ラインに導入したAI技術のおはなし
画像判定サービス「MMEye」のモニター

IoT(モノのインターネット)やAIなどのデジタル技術を駆使した「スマート工場化」を全社的に目指しているロッテでは、チョコレート菓子を生産する狭山工場の製造工程で、AIの技術を2019年の12月から導入しているんだ。

お菓子は、ほかの工業製品などに比べて、生産当日の室温、湿度等の影響を受けやすいから、仕上がりに個体差が出やすいんだ。そのため、一定の品質に満たなかったものは、取り除いていく「外観検査」をしている。その時頼りにしていたのは人の目。チョコレート菓子を生産する狭山工場では、何人もの経験豊富な検査員が交代制で目視をして検査を行っていたんだ。

スマート工場化を目指すには、この、人の目に頼る外観検査の合否判定をシステム化するのが製造過程の中で大きな課題だったんだ。そんな中で注目したのが、YE DIGITAL(ワイ・イー・デジタル)が開発した画像判定サービス「MMEye(エム・エム・アイ)」。

「MMEye」は同社のFA開発などで培ってきたエンジニアリング技術やノウハウを体系化したAIアルゴリズム「Paradigm(パラダイム)」を搭載した製造業向けのAI画像判定サービス。

FAというのは、ファクトリーオートメーションの略で、コンピューター技術を用いて工場のさまざまな作業や生産工程を自動化すること。人の手で行われていた作業を産業用ロボットなどの自動化設備に置き換えることで、人的ミスの削減や安全面への配慮、コスト削減、作業効率の向上がはかられているんだ。お菓子のような個体差が生じやすい製品に対して高精度で外観検査ができるのが特長だ。

それぞれの個体にデータが表示される

狭山工場では、生産ラインに設置したエリアカメラからの画像を分析することで外観検査を高精度かつリアルタイムで確認できるようになって、生産ライン上のお菓子の欠けや割れといった不良品の自動判定に役立てられている。GUI(※)からAIの最適化実行ができるから、AIの専門知識がない担当者でも簡単に操作や設定ができるんだ。

※GUI(Graphical User Interface)
グラフィカル・ユーザー・インターフェース(Graphical User Interface)の略語。コンピューターに出す命令や指示などを、文字を使わずコンピューターの画面上に表示されるウィンドウやアイコン、ボタン、プルダウンメニューなどを使い、マウスなどで操作できるインターフェースのこと。

ロッテ狭山工場

今後の運用にも期待

現在「MMEye」は、生産ライン上のお菓子の欠けや割れといった不良品判定を自動化する目的で運用しているけど、今後は、この運用によるデータの蓄積と分析で製造工程の改善をして食品ロスの削減につなげていくことも考えているんだ。

また、狭山工場以外の工場でも、このシステムを取り入れて、生産工程の「自動化」が進めば、今後心配される人材不足の解消も期待できるんだ。

画像判定サービス「MMEye」とは?

画像判定サービス「MMEye」は、エッジ端末(現場で使う情報処理端末)や、生産ラインに設置したエリアカメラから取得したお菓子の画像を活用して、その場で、リアルタイムで、「AI外観検査」を行います。

コンピューターのソフトウェア上では、ディープラーニング(深層学習)と呼ばれるAI技術を利用しています。ディープラーニングは、コンピューターに大量のお菓子の外観画像を読み込ませて学習させ、不良品を判別する精度を上げることに役立っています。

ディープラーニングは膨大なデータの中から、ルールを見つけ出すことが得意です。判別基準があいまいなお菓子の判定でも、この技術を利用すれば、コンピューターが「自動」で判定ルールをつくります(これは、「判定モデル」の作成とも呼ばれています)。それにより、精度の高い判定が実現しているのです。

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