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1999年の発売以来、独特の食感で多くの人に愛されてきたロッテ「爽」。‶シャリシャリ食感″の秘密はロッテ独自の技術が生み出す「微細氷(びさいごおり)」にあります。そこでロッテのお菓子のおいしさの秘密を探る「探検 お菓子の原材料」では、2回にわたり微細氷に注目。今回は、微細氷の役割や、「爽」にもたらしている特長をお伝えします。

わずか“0.1㎜前後”の大きさ

シャリシャリとした食感が楽しい「爽」。この食感は、ロッテ独自技術である微細氷をアイスに混ぜ込むことで生まれます。

微細氷の大きさは0.1㎜前後。ボールペンの先ほどの大きさです。どう作るのでしょうか。

ベースとなるのは大きな氷のかたまり。これを 「連続式粉砕装置」に通して砕くことで均一サイズの氷ができます。大きすぎる氷や、不ぞろいな氷が口に入ると違和感につながるため、人が食感として感じられる‶ほぼ均一″な大きさに調整することが重要なのです。
微細氷の大きさを導き出すまでには試行錯誤を繰り返しました。詳しくは後半で触れますが、販売季節やフレーバーによってやや小さめだったり、大きめだったりと、微妙にサイズを変えているのです。また、アイスに混ぜ合わせる微細氷の分量も一定ではありません。新しいフレーバーを開発するごとに、適切な大きさと配合の比率を見極めているのです。

では、微細氷を混ぜ込むことで完成する「爽」の製造工程を見ていきましょう。

  • ①「混合・均質化」
    乳製品や砂糖などを温めながら混ぜ合わせ、さらになめらかな口どけにするために圧力をかけて成分を細かく、同じ大きさにする。その後、高温で殺菌する。
  • ②「貯蔵(エージング)」
    タンクの中でゆっくり休ませ、かき混ぜながら冷やす。
  • ③「微細氷」の混合
    細かくくだいた「微細氷」を混ぜる。
  • ④「充填(じゅうてん)」
    カップに流し込む。
  • ⑤「急速冷凍」
    一つ一つのカップにふたをしたあと、急速冷凍機で冷やして固め、できたての味や風味を閉じ込める。
  • ⑥「梱包」
    箱につめて、お店に届けます。

一般的なアイスと同じように、まず、乳製品や砂糖などの原料を混ぜ合わせ「アイスクリームミックス」を作ります。

冷やしたアイスクリームミックスに微細氷を加え、さらに冷やしながらよく混ぜ合わせます。その後、カップに流し込み、急速冷凍機で固め、完成させます。

この工程を見ると、微細氷をアイスクリームミックスに投入しても溶けたりはしないのか?といった疑問がわくかもしれません。でも大丈夫。微細氷とアイスクリームミックスを混ぜ合わせる工程で、氷が溶けたり、偏ったりしないような工夫を施しています。それにより均一な濃さで冷凍できるのです。

微細氷は遅れて溶ける?

2022年3月現在販売中の「爽<バニラ>」「爽<生チョコinバニラ>」「爽<濃厚完熟バナナ>」「爽<練乳いちご>」

さて、「爽」の人気の理由は、‶シャリシャリ食感″だけではありません。しっかりとしたアイスのコクを楽しみながらも、後味はすっきりしていて爽やか。それが「爽」のおいしさの理由であり人気の秘密です。

「爽」開発の背景になっているのは

「開発当時、社内で食べた後に水が飲みたくなるような甘さではなく、‶後切れのいい″バニラアイスを作れないか、といった意見が上がりました。当時、アメリカ西海岸ではスムージーなどのフローズンドリンクが流行していたこともあり、それを参考に開発が始まったのです。それまで地道に進められていた技術者たちによる氷の研究成果を活かすことができたのも大きかったです。‶すっきりとした後味″を得るために、微細氷を用いるという発想は画期的だったと自負しています」(ロッテ中央研究所 アイス研究部アイス研究二課 山本真実)

では、微細氷を混ぜ合わせると、なぜ「すっきりとした後味」が得られるのでしょうか。

その理由は、アイスと微細氷の口の中で溶けるスピードの違いにあります。「爽」を口に含むと、まずアイス、それを追いかけるように溶けた微細氷がアイスを洗い流していくため、食べた後は、すっきりとした後味が得られるのです。

実は「爽」における微細氷の役割はもう一つあります。
「『爽』には、‶匙通り″がいいという特長があります。研究員による官能評価を実施し、微細氷が入っているアイスと微細氷が入っていないアイスとを比較した際に、微細氷が入っているアイスの方が統計学的に有意に“匙通りがいい”という結果を得ることができました。アイスにありがちな、‶ちょうどいい頃合いになるまで冷凍庫から出して置いておく″そんな時間を少しでも短くする効果が微細氷にはあるのかもしれません」(ロッテ中央研究所 アイス研究部アイス研究二課 三浦聡仁)

小さい粒ながら大きな役割を果たしている微細氷のこと、おわかりいただけたでしょうか。

次回、後半では「爽」のフレーバーの視点から、微細氷を深掘りします。

の こだわり

微細氷入りの飲むアイス「クーリッシュ」とは何が違う?

ロッテには、「爽」のほかにも微細氷入りのアイスがあります。2003年に発売された飲むアイス「クーリッシュ」です。もちろん、こちらも後味すっきり! ‶もう一口″を誘うアイスです。

微細氷は「爽」と同じ技術で製造しており、氷の大きさも「爽」のバニラと同じ。ただし、アイスクリームミックスを作る際の配合も、微細氷を混ぜる比率も違います。

なぜかと言うと、それは物性に違いがあるから。「クーリッシュ」は「飲むアイス」。飲料やゼリー状の食品に使われる容器(チアパック容器)を用い、手で押しながら口に含むことができるよう、流動性を持たせる必要があるからです。冷凍庫から出して飲む際に、「硬くて飲みにくい」という声もあったため、よりストレスなく飲めるような配合にしています。

対して「爽」は、スプーンですくって食べるカップアイス。家でほっと一息つきながらゆっくり味わっていただくことをイメージしています。詳しくは次回で触れますが、見た目や味の変化をもたらすために充填の仕方にも工夫が。

どちらも微細氷による「後味すっきり」は‶売り″としつつも、物性や見た目ですみ分けし、多くのファンを獲得しています。

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