entry category about
CONTENTS CATEGORY ABOUT

イギリスで最も自然が美しいと評される湖水地方。その南の玄関口といわれるケンダルの町は「ケンダル・ミントケーキ」発祥の地としても知られています。ケンダル・ミントケーキは、約150年前に誕生したお菓子ですが、今でも登山者やハイカーたちを中心に人気があります。

ケンダルの町 photo by Humphrey Bolton (Wikimedia Commonsより)

失敗から生まれた!?

ケーキと名がつくので、ふわふわのスポンジケーキかと思いきや、ケンダル・ミントケーキはミント味の砂糖菓子。さまざまな形のものが売られていますが、板チョコのように平らに固められて、小さく割って食べられるよう溝がついているタイプが一般的です。

ケンダル・ミントケーキ photo by Yohan euan o4(Wikimedia Commonsより)

レシピは、1869年に菓子職人のジョセフ・ワイパー氏が考案したといわれています。ワイパー氏のミントケーキを受け継いでいるお菓子店「Romney’s」のホームページによると、ケンダル・ミントケーキは、ワイパー氏がお菓子作りに失敗したことから誕生したと書かれています。

発祥については諸説あるようですが、一説には透明で固いミントキャンディーを作ろうとしていたところ、加熱をするときにいつもより混ぜすぎたために砂糖が結晶化して白濁したのだとか。そのまま放っておいたら翌朝、もろくて口の中でほどけるおいしいミントケーキになっていたというから驚きですね。

最も手軽で人気があった

このケーキを一躍有名にしたのは1953年5月29日、英国遠征隊のエドモンド・ヒラリー卿とテンジン氏が人類初のエベレスト登頂を達成したとき、登山中のエネルギー補給源として、ケンダル・ミントケーキを食べていたというエピソード。

当時、登山チームの一員が「ケンダル・ミントケーキは、我々が携行した食糧の中で、最も手軽で人気があった。ただ、十分な量を持って行かなかったことだけが悔やまれる」と明かしたことで、人気に拍車がかかったそうです。

エベレスト登頂を達成したヒラリー(左)とノルゲイ(右) 1953年5月29日 photo by Jamling Tenzing Norgay(Wikimedia Commonsより)

ほかにも多くの登山家や探検家たちがケンダル・ミントケーキを携行したことから、現在でも、登山やハイキングのお供として親しまれています。

現在は、ブラウンシュガーで作られたものや、チョコレートでコーティングされたものなども売られています。日本ではなかなか手に入りませんが、イギリスへ行った際にはぜひチェックしたいお菓子です。

「ミントの世界」より転載
※ 一部加筆しています。

Shall we Share

ほかの連載もみる