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代表取締役社長 中島 英樹
株式会社ロッテ
代表取締役社長執行役員
中島 英樹

節目の年にカカオ生産地を訪問

2024年は当社のチョコレート事業が60周年を迎えた節目の年であり、同年10月に当社の主要なカカオ豆調達地であるガーナのカカオ農園と農村部の学校を訪問してきました。十分に環境が整っているとは言えない学舎で目を輝かせながら勉学に励む子どもたちの様子を目の当たりにして、改めてカカオの生産地が抱えている課題を改善せねばと、私自身強く感じました。
ここ数年は、円安の進行や西アフリカでのカカオ豆不作に伴うカカオ相場の歴史的な高騰もあり、事業そのもののサステナビリティ(持続可能性)について、社内外で対話する機会が増えました。当社はガーナを中心に生産地やサプライヤーと良好で強固な関係を築き、カカオ豆の持続可能な調達に長年取り組んできました。児童労働の撤廃や森林減少の防止に加え、カカオの生産性を高めるための農業指導も行っています。指導を受けている農家はそうでない農家に比べ、不作の影響が小さかったとも聞いています。これらの活動が功を奏し、相場高騰の影響は受けつつも、生産に必要なカカオ豆を確保し続けることができています。不確実性が高まる昨今においては、サステナビリティ活動が、有事へのレジリエンスという側面からも重要だと再認識しました。
カカオの生産性が高まり農家の方々の生計が向上していくことは、カカオ農家という仕事の魅力を高め、将来のカカオ生産者を創出していくことにつながります。当社のチョコレート事業のサステナビリティを考える上で、これらの活動はとても重要な意味を持つと言えます。
しかしながら、一社だけでできることの限界も感じています。そこで、2024年には他のカカオ豆関連企業と連携して、バイオ炭の評価試験をスタートさせました。カカオ生産地で廃棄されているカカオの外殻を炭化させ、農園に散布することで、カカオの生産性向上や脱炭素効果が期待されます。その有効性や最適な散布方法などを現地で評価していきます。今後も、ステークホルダーと連携して社会課題解決へのインパクトを拡大していきたいと思います。

経営戦略と連動した人財戦略を推進

当社は持続可能な成長を実現するための経営戦略として、①国内既存事業の収益性向上②海外事業の成長加速③新規事業の探索・育成の3つを推進しています。国内の菓子・アイスを中心とする既存事業では、デフレ経済からの緩やかな脱却の兆しを捉えながら、ブランドを軸に量から価値への転換と生産性の向上を図り、収益性を高めていきます。そして、国内既存事業の収益を基盤に、海外事業へ積極的に投資し、グループ全体の成長をけん引していきます。また、新規事業の探索・育成も積極的に行い、そこから得られるノウハウや既存事業とのシナジーなどの「成長のタネ」を積極的に生み出していきたいと考えています。

経営戦略と連動した人財戦略を推進

これらの経営戦略を実行していくためには人財が最も重要です。そのため、経営戦略と連動した人財戦略を推進し、経営戦略の実行に必要な人財ポートフォリオを実現していきます。この人財ポートフォリオに沿って、優秀な人財の獲得や育成への投資をさらに拡大します。また、当社で思う存分活躍できるように、多様な働き方の実現や多様性を尊重する風土改革など、従業員エンゲージメントの向上にも引き続き注力していきます。
ロッテ ミライチャレンジ2048では、エンゲージメントスコアの向上を目標の一つに掲げています。この結果は、従業員から私たち役員に対しての「通知表」であると認識しています。どれだけ良い職場環境か、いきいきと働けているか、そして経営を信頼できているかという、役員に対する総合評価です。私たちは従業員の声から目を背けることなく、真摯に受け止め、改善していくことを約束します。ロッテで働きたい、働いてよかったと思ってもらえるよう、私たちはこれからも進化し続けます。

「しあわせな未来」を実現するために

昨今の変化が激しく予測が難しい事業環境下においては、パーパス(存在意義)を明確にすることがますます重要であると感じ、当社グループで働く従業員とともに「独創的なアイデアとこころ動かす体験で人と人をつなぎ、しあわせな未来をつくる。」というパーパスを2023年に新たに策定しました。「しあわせな未来」という言葉には、持続可能な地球と社会、そしてそこで暮らす人々の豊かなくらしに貢献するという私たちの決意が表れています。
当社グループの事業は、原材料をはじめとして多くの自然の恵みに支えられています。さらに、それらを生産する農家の方々やお取引先様、お客様など多くのステークホルダーに支えられています。環境や人権に関わる課題の解決に取り組み、パーパスで掲げる「しあわせな未来」を実現し次の世代に引き継ぐことは、持続的な成長を遂げるための事業活動そのものです。
2025年度以降も、私たちは多くの困難に直面するかもしれません。しかし、変化を恐れず、常に「しあわせな未来」をどう実現するかを問い続け、ステークホルダーの皆さまとともに持続可能な成長と企業価値の向上に挑戦していきます。引き続き、皆さまのご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

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