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いまや私たちの身近になった、キシリトール。……ですが、キシリトールはいったい何からできていて、どんな特徴を持つのか? また、どのようにして世の中に広まっていったのか? 「探検 お菓子の原材料」では今回、あらためてキシリトールについて紹介します。

世界が驚いたキシリトール実験とは

キシリトールは、白樺(しらかば)や樫(かし)といった樹木や植物を原材料とする甘味料。イチゴやカリフラワー、ラズベリー、ホウレンソウなどの野菜や果物にも、キシリトールは含まれています。栄養素の分類としては、糖質の仲間にあたる、糖アルコールの一種です。キシリトールは砂糖と同じような甘さですが、カロリーは砂糖の4分の3という特徴があります。ひんやりとして、さわやかな冷涼感を持ちます。

キシリトールにいちはやく着目したのが、フィンランドのカウコ・マキネン教授でした(現・フィンランド トゥルク大学名誉教授)。キシリトール研究の第一人者と呼ばれています。キシリトールを歯の健康に役立てる研究を進めていたマキネン教授は1970年代、トゥルク市で、115人の協力を得てキシリトールを使った大々的な実験を行いました。

その実験では、参加者を3つの群――①食品に使われている砂糖(スクロース=ショ糖)をこれまで通りに摂取する群、②砂糖をフルクトース(果糖=果物に多く含まれている糖)に置き換える群、そして、③砂糖をキシリトールに置き換える群に分けて、それぞれの食生活を2年間にわたって続けてもらいました。すると、キシリトールを摂取していた③の群は他に比べ、歯の健康が保たれた、という結果が得られたのです。

さらにその後、100人の学生らが参加した1年がかりの実験によって、食品に使われる砂糖をキシリトールに置き換えることをせずに、キシリトール入りのガムを噛むことで同様の結果が得られるということもわかってきたのです。

1975年、マキネン教授は一連の研究成果を発表し、世界中で広くキシリトールが知られるようになりました。キシリトールは1983年に世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機関(FAO)で安全性が認められています。日本では1997年に食品添加物として使用することが認可され、私たちにとって身近な存在となっていきました。また、日本歯科医師会が推薦する「歯科保健の向上に資する製品」のなかには、ロッテの特定保健用食品のキシリトールガムも名を連ねています。

キシリトールガム<ライムミント>
フィンランド・トゥルク市の街並み

フィンランドでは、1956年から学校歯科保健活動に努めてきたものの、なかなか改善されない状況が続いたようです。その後、1972年に「国民健康法」が制定されると、各地域にある公的な保健センターでは、食習慣や歯磨きの指導、フッ素の塗布などを積極的に行っていきました。現在では、指導の一環として、キシリトールの摂取も推奨されています。

キシリトールはなぜ、歯の健康に役立つのか――。これについては次回、詳しく紹介していきます。

の こだわり

フィンランドの食卓に欠かせないキシリトール

「2年前の現地視察で訪れたフィンランドの一般家庭では、キシリトール入りのガムやタブレットなどが当たり前のように食卓にあり、食後や歯磨き後などに好んで摂取していて、生活に溶け込んでいることを実感しました」。こう話すのは、ロッテ マーケティング本部キシリトールブランド課の清水成家。

ほかにもキシリトール入りのガムなどは、宿泊先のホテルで、訪問した企業で、と行く先々で必ず目にし、強い印象を受けました。「保育園の訪問では、毎食後のキシリトール摂取が習慣として徹底されていることにも驚きました。このようなフィンランドでの習慣について、積極的に紹介していきたい」と清水は話します。

キシリトールが子どもたちを笑顔にする

ロッテではこれまでも、子どもたちに向けた活動として、国内の幼稚園や小学校を訪問して、歯の健康を学べる教材等を配布するなど、社会貢献活動に取り組んでいます。

(参考文献・ウェブサイト)
● 厚生労働省「e-ヘルスネット」(甘味<砂糖>の適正摂取方法)

● A Scheinin, K K Mäkinen, K Ylitalo
Turku sugar studies. V. Final report on the effect of sucrose, fructose and xylitol diets on the caries incidence in man
Acta Odontol Scand. 1976;34(4):179-216.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/795260/

● A Scheinin, K K Mäkinen, E Tammisalo, M Rekola
Turku sugar studies XVIII. Incidence of dental caries in relation to 1-year consumption of xylitol chewing gum
Acta Odontol Scand. 1975;33(5):269-78.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1067728/
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